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2006年03月12日

最初の一歩(2A3シングル)、および真空管オーディオについて

さて、最初に作ったアンプの回路図というのがこれです。
2A3シングル:回路図
部品の数が少なくて驚かれると思いますが、かなりまともな音が出ます。実はこれでも音質向上のために部品を追加したので、最初はもっと単純なものでした。
これが真空管アンプの特徴なのです。半導体を使うとこうはいきません。
もちろん真空管だってもっと複雑な回路はあるし、このアンプも手を加える余地はありますが、複雑にすればいいというものでもありません。むしろシンプルなほうがいい結果が出ることもあるようです。
ちなみに、このアンプは松並希活さんの著書にあったものを基に、多少手を加えたものです。当初は本の通り作ったのですが、ネットで球アンプ情報に当たるうち、次第に知識がついてきて、改造するにいたりました。
一番面倒なシャーシが、加工済みのものを秋葉原のノグチトランスで売っているため、初心者には大変作りやすい物でした(ただ、アルミシャーシの塗装は別途ノウハウが必要。私はまだ会得していません。それから松並さんの本だけでは、一部の配線を捻って組み合わせるようなノウハウは得られなかったことも付記しておきます)。

半導体のアンプについてもう少し書きます。
真空管をいじり出す前は、真空管は古臭い音がして、現代的な音がする半導体に取って代わられたのだと信じ込んでいました。しかし調べていくと、どうもそうではないらしいとわかりました。
真空管でも十分現代的な音は出せる(自作2号機で実感しました)。半導体が普及したのは、メーカーの都合です。
真空管は、作るのにコストがかかるのです。ガラスの中に電極が複雑な形で収められている様は、1個1個がまるで、工芸品のようなものです。半導体に比べて大量生産に向くとはとても思えません。
それと、真空管を使ったアンプには、大型の出力トランスというものが必須になります。これがないとスピーカーからまともな音が出せません(使わない回路方式もあるが、さらに大掛かりな回路になる)。これもコストがかかる上に、物理的にもアンプ全体が大きく重たくなります。トランスは重ければ重いほど、低音がよく出るいいトランスなのです。
安く作れるというのはもちろん、軽く作れるというのも、遠く海外の市場でも製品を売りたいメーカーとしては、輸送コストの面でメリットになります。絶対的な音質を求める「ハイエンド」という客層は決してメジャーではないので、一般向けのオーディオ機器としては半導体を使って軽薄短小化していくのは当然の流れでした。
そういったことで、徐々に真空管のオーディオは市場ではマイナーな存在になってきました。しかし、ことオーディオを自作する者にとっては、半導体よりも扱いやすい真空管はありがたいのです。なんたって壊れにくいし。自慢じゃないけどこの半年でもトランジスタは何個も壊しました。が、球は一度も壊してません。
それと、クラシック音楽好きは、古い音源のCDを聴くことが多いのが普通。これも実際に作ってみて実感したのですが、真空管のアンプは70年代まではメジャーだったので、そのころまでに録音された音源は、真空管アンプで鳴らしたほうがずっと自然な音で鳴るのです。クラシックだけでなく、ジャズもそうかな。
過去の膨大な文化の蓄積を捨てるつもりがない以上、それらをよりよい環境で再生するためには、真空管オーディオはなくせません。敢えて大げさな言い方をすると、人類の責務だと思いますね。球オーディオを絶滅から守るのは。

投稿者 clad : 2006年03月12日 22:39

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