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2006年03月19日

今聴いている曲(バックス)

一番好きな、音楽について、まだ一度も書き込んでいませんでした。
音楽については、ついつい構えてしまって気楽に書けないのかもしれません。いつか書こうと思っているテーマも、結構重いものばかりだしね。
気楽にいかないと始められないと思い、『今聴いている曲』というテーマで書き始めることにしました。これならいつでも気軽に書ける。

今流れているのはArnold Baxのピアノソナタです。なんでも交響曲第1番の初稿だったものらしい。演奏時間30分を超える大作です。
CDの棚を見ると、バックスのものは結構たくさん持っていました。そんなに熱烈に支持しているというわけでもないのに、どうも気になる作曲家というか、この人の聴いたことのない曲だとついつい買ってしまう。

ドビュッシーに影響を受けていることは明白な響きの音楽ですが、「感性の人」だったはずのドビュッシーもバックスと比べるととても理知的というか、よく整理された音楽を書く人に思えます。
内省的なところはシベリウスにも通じるものがある気がします。ただ、シベリウスほどの緻密さはない。現代人に近い複雑な内面が、かなりストレートに出ているような音楽。それが深い川霧に覆われたような幻想的な響きを纏い、やや口ごもり気味に語りかけてくるがごとき風情。

バックス入門用には、実はピアノ曲はあまりおすすめではないようです。
7曲ある交響曲も、どれもあまり取っ付き易いとはいえないものばかり。
バイオリンソナタや、管楽器を含んだ室内楽曲から入るのがいいかと思います。
派手さはなく、聴き惚れるような旋律美もないけれど、陶然と耳を傾けると、心に静かに染み入ってくる…そんな経験ができるかもしれません。

投稿者 clad : 00:24 | コメント (0)

2006年03月18日

回路のお勉強をしてみた

2A3シングルアンプを作ってみて、シンプルなのにいい音がするのに驚き、改めてまじめに真空管アンプについて勉強する気になりました。
最初はネット上でこちらで勉強しようとしましたが、電気回路は大学でちょっと習った程度(理屈としては概ねわかっていても、実用的な回路設計には役立たないレベル)だったので、ちょっと敷居が高すぎ、初心者向けの本を買うことを決意。
最初に買って読んだのが黒川達夫著『はじめての真空管アンプ』(誠文堂新光社)。初歩の初歩から書かれており、すいすいと頭に入りました。
次に、改めてこちらのオーナーの木村哲さんが書かれた『情熱の真空管アンプ』(日本実業出版社)に挑戦、今度は砂に水が染み込むように理解できました。タイトルからは、ちょっと思い入れの強いエッセイ集のような趣の内容を予想しがちですが、さにあらず、実用的なアンプ設計~製作の知識が詰まっています。

これらの2冊は、お互いに補完関係にあるように感じます。
黒川さんの本は初心者向けに丁寧に解説してありますが、これだけではオリジナルの回路を設計するまでの知識は得られません。真空管の動作条件をどう設定するか、などがあまり細かく書かれていないのです。
一方の木村さんの本は、電気回路の初歩的な部分はそこそこに、真空管アンプの設計と製作の実務的な解説を中心に書かれています。この本のおかげで、次のアンプはオリジナルの回路を設計できたのです(オリジナルといってもほかの人の考えた回路のつぎはぎですが、真空管アンプの回路なんて大概そんなものです。大概のアイディアは出尽くした感があり、まったく新規の回路を思いつく人なんてそうそういません。それでも球の種類もいろいろ、回路もいろいろあり、それらの組み合わせで楽しめるので、当分飽きそうにはありません)。
ただ、木村さんの本も『全段差動増幅』という回路についての解説が主です。この2冊でシングルと差動については十分わかりますが、一般的なプッシュプルや、SEPPだのSRPPだのといった回路方式についてはわかりません。
こういうときは、ネット上で検索しても、断片的な知識は得られても、なかなか体系的な勉強はできないもの。そこでもう一冊、長真弓著『真空管アンプ設計自由自在』も購入。こちらはプリアンプの回路設計にも触れた盛りだくさんな本で、実はまだ読破していません。それでも、2台目の設計~製作はできてしまい、すでに稼動しています。次に紹介する「10EW7差動アンプ」です。

投稿者 clad : 23:35 | コメント (0)

2006年03月12日

最初の一歩(2A3シングル)、および真空管オーディオについて

さて、最初に作ったアンプの回路図というのがこれです。
2A3シングル:回路図
部品の数が少なくて驚かれると思いますが、かなりまともな音が出ます。実はこれでも音質向上のために部品を追加したので、最初はもっと単純なものでした。
これが真空管アンプの特徴なのです。半導体を使うとこうはいきません。
もちろん真空管だってもっと複雑な回路はあるし、このアンプも手を加える余地はありますが、複雑にすればいいというものでもありません。むしろシンプルなほうがいい結果が出ることもあるようです。
ちなみに、このアンプは松並希活さんの著書にあったものを基に、多少手を加えたものです。当初は本の通り作ったのですが、ネットで球アンプ情報に当たるうち、次第に知識がついてきて、改造するにいたりました。
一番面倒なシャーシが、加工済みのものを秋葉原のノグチトランスで売っているため、初心者には大変作りやすい物でした(ただ、アルミシャーシの塗装は別途ノウハウが必要。私はまだ会得していません。それから松並さんの本だけでは、一部の配線を捻って組み合わせるようなノウハウは得られなかったことも付記しておきます)。

半導体のアンプについてもう少し書きます。
真空管をいじり出す前は、真空管は古臭い音がして、現代的な音がする半導体に取って代わられたのだと信じ込んでいました。しかし調べていくと、どうもそうではないらしいとわかりました。
真空管でも十分現代的な音は出せる(自作2号機で実感しました)。半導体が普及したのは、メーカーの都合です。
真空管は、作るのにコストがかかるのです。ガラスの中に電極が複雑な形で収められている様は、1個1個がまるで、工芸品のようなものです。半導体に比べて大量生産に向くとはとても思えません。
それと、真空管を使ったアンプには、大型の出力トランスというものが必須になります。これがないとスピーカーからまともな音が出せません(使わない回路方式もあるが、さらに大掛かりな回路になる)。これもコストがかかる上に、物理的にもアンプ全体が大きく重たくなります。トランスは重ければ重いほど、低音がよく出るいいトランスなのです。
安く作れるというのはもちろん、軽く作れるというのも、遠く海外の市場でも製品を売りたいメーカーとしては、輸送コストの面でメリットになります。絶対的な音質を求める「ハイエンド」という客層は決してメジャーではないので、一般向けのオーディオ機器としては半導体を使って軽薄短小化していくのは当然の流れでした。
そういったことで、徐々に真空管のオーディオは市場ではマイナーな存在になってきました。しかし、ことオーディオを自作する者にとっては、半導体よりも扱いやすい真空管はありがたいのです。なんたって壊れにくいし。自慢じゃないけどこの半年でもトランジスタは何個も壊しました。が、球は一度も壊してません。
それと、クラシック音楽好きは、古い音源のCDを聴くことが多いのが普通。これも実際に作ってみて実感したのですが、真空管のアンプは70年代まではメジャーだったので、そのころまでに録音された音源は、真空管アンプで鳴らしたほうがずっと自然な音で鳴るのです。クラシックだけでなく、ジャズもそうかな。
過去の膨大な文化の蓄積を捨てるつもりがない以上、それらをよりよい環境で再生するためには、真空管オーディオはなくせません。敢えて大げさな言い方をすると、人類の責務だと思いますね。球オーディオを絶滅から守るのは。

投稿者 clad : 22:39 | コメント (0)

2006年03月04日

真空管アンプ事始

職場の先輩にそそのかされたのが始まりでした。

最初は、どうせ真空管アンプなんて、骨董品のような音がするんだろうと馬鹿にしていました。しかし先輩たちがいかにも楽しそうにアンプ作りの話題で盛り上がるので、ついその気になって作ってみたわけです。
しかも「どうせやるなら完全自作」ということで、専門書を買ってきて、それに書かれた内容どおりのアンプを、部品をひとつずつ買い集めて作ったのが1号機。「2A3シングル」というと、詳しい方ならどういうモノか見当がつくはずです。初段は12AX7のSRPPという方式の増幅回路です。
あ、「2A3」「12AX7」というのは真空管(「球」と呼ばれる)の形式名です。どちらもオーディオではとてもポピュラーな球です。
回路なんてあきれるほど簡単なもので、こんなんでいい音が出るわけないという先入観もありました。部品さえそろえば作るのは簡単。

作って音を出してみて……正直びっくりしました。

いまどきのアンプなんて、本格的なオーディオ用なら出力100W以下のものなんて珍しいでしょう。それがこの1号機は片側3.5W、両チャンネル合わせても7Wです。小型のラジカセみたいな数字なので、それなりに大きなスピーカー(B&Wという会社の「DM220」という、20cmウーファーが2つついたもの)をまともに鳴らせるとは思えなかったのです。

ところが、大変まともに鳴ってしまいました。
それどころか、弦楽器の存在感など、今までのアンプよりいいみたい。

ただ、「ブーン」というハム音がします。かすかに、というレベルではない。調整用のボリュームを回しても変化なし。
これが気になったので、どうすればいいかネットで調べたら、これまた簡単、すぐにわかりました。電源など、交流が流れるところは配線同士をよじり合わせるものらしい(今思えば当たり前ですが、当時はそんなことも知らなかった。それでもアンプは作ることができたくらい簡単でした。ちなみに「当時」といっても、まだ1年もたってませんが)。
早速やってみたら、あっさり静かになりました。スピーカーの正面に耳を当てないとハムは聞こえません。普通に音楽を聴く限り、まったく気づくことはありません。以上、対策完了。
ちょっといじるとすぐに結果が出る。しかも劇的に変わる……この体験で、もう決定的にハマってしまいました。球アンプの世界に。

その日から、それまで使っていた十数年物の半導体(真空管の「球」と対比して「石」と呼ばれる)のアンプはすっかりほこりをかぶったままとなり、球アンプ1号機が取って代わってしまいました。
以後も少しずついじっては効果を確かめ、楽しんでいます。

実は現在、1号機の大改造を計画中。何しろ初めてだったので、配線もぐちゃぐちゃならシャーシ(筐体)の塗装も拙くてハゲハゲ。一から作り直そうと考えているのです。
部品は今のものを使うので、アルミの弁当箱みたいな安いシャーシを買ってくれば、後は手間をかけるだけです。手間をかけること自体が楽しいのでいいのですが、いつやるかは未定。構想を練っているときが、一番楽しいのですよね。だからたっぷり時間をかけて構想を練り上げます。
やっぱり自分は根っからの理系だったのだと納得。

投稿者 clad : 21:09 | コメント (0)