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2007年04月22日
10EW7差動アンプ改造のその後と新しい計画
10EW7のアンプは安定しているのですが、問題点も明らかになってきました。
今回は出力管の許容損失ぎりぎりまで追い込んだ動作点を設定しているのですが、実は電源トランスの容量もほぼ目一杯まで使用してしまっています。厳密にはヒーター用の巻線にはまだ多少余裕がありますが、B電源用の巻線の容量はほぼ使い切っています。
そのため、電源トランスがかなり熱を持つのです。熱伝対を当てて測ったところ、表面でも60℃になっていました。内部の温度はさぞや……。
他にも真空管だって、MT管より太いとはいえせいぜい6SN7GTあたりと変わらないガラスサイズですから、結構熱くなります。また、抵抗で電圧をドロップさせている箇所も多く、電熱器をいくつも内蔵しているようなものなので、シャーシも相当な温度になります。
これでは使用部品の寿命だって短くなるでしょう。アンプとしての完成度に問題があるといわざるを得ません。
そこで、出力管の動作点をもう少し軽めに設定しなおして、電流を減らし、電源トランスの負荷も軽くすることにしました。計算上の出力は片ch8Wから6W程度に落ちますが、実用上はもちろん大差ありません。
問題は、今回新しいものに交換した電源トランスを、また元のものに付け替えないといけないなど、結構面倒な改造になりそうなことです。当初はノグチトランスのPMC-190Mを積んでいました。動作点を見直してB電圧を上げるため、同じノグチのPMC-170Mに換装したのです。今度はPMC-190Mでもぎりぎり可能な高さのB電圧に抑えることとしました。
どうせ大仕事になるんだったら、3段アンプ化と一緒に、別の機会にまとめてやろうということになり、当面は今のまま様子を見ることとしました。
それより先に、今度はもっと小型のアンプを製作することにしました。
実は自宅の模様替えで、自分専用の作業スペースがやっと持てた(!)ので、そこに置くアンプをこしらえようということなのです。
回路もほぼできてしまいました。8B8の三結でロフティン・ホワイト型シングルアンプにします。8B8は音のいいことで知られる6BM8のヒーター電圧違いで、比較的安く手に入ります。8Vのヒーター電圧は、6.3Vの巻線からDCで取り出します。あまり丁寧にリップルを除去する必要もないはずなので、難しくはないでしょう。
出力トランスはTANGOのU-608で、これも評判のいいものです。生産は終了していますが、オークションで中古品をリーズナブルに入手できました。
ロフティン・ホワイトの回路は、出力段と前段が直結というだけでなく、前段の負荷抵抗が出力段のグリッド抵抗を兼ねるという特徴があります。直結ですから初段のB電圧を上げ過ぎると出力段のカソード電圧がとんでもなく高くなり、B電圧も高くなりすぎ、適合する電源トランスがなくて苦労したりもするので、電圧配分に工夫が必要です。Webで6BM8の作例も見つけましたが、初段の動作点が気に入らず、あまり参考にはなりませんでした。3日ほどああでもない、こうでもないと頭をひねり、ようやくよさそうな回路が出来上がりました。清書したら、実物ができるより先に掲載してしまおうかと思います。ご高評賜れれば幸いです。
今回は定評のある球と出力トランスと回路で、小型ながらリファレンス足りうる性能を目指します。
2007年04月03日
10EW7差動アンプ改造版の回路図
改造版の回路図が描けたので掲載します。
改造前よりは図面としても多少すっきりしたと思います。回路自体がすっきりしたかどうかはともかく、回路図エディタソフトの操作に慣れたのは事実です。
回路を考えるのもそうですが、回路図を描くのも、辻褄合わせをしながら自分の美学との妥協点を探る(かなり大げさですが「カッコ悪いのは嫌い」程度の意味です)という作業は、結構好きだったりします。
繰り返しになりますがこの回路で一番気に食わないのは6J11の動作点の設定で、もっとプレート電流を流してやればゲインも稼げたはず(五極管なんだから)。しかし現状でも電源トランスは容量的にいっぱいいっぱいなので、現状のゲインでよしとするなら12AX7を使うべきだし、それよりはむしろ10EW7(t)をカソフォロでなく増幅段として活用し、20程度のμの球を持ってきて3段増幅アンプにするのが王道でしょう、やはり。
そうすれば三極管で統一できることになり、めでたく一点の曇りもない全段差動アンプとして胸を張れます(笑)。
なぜカソフォロにしようかと思ったかというと、6J11を流用したかったので、それを高いインピーダンスで受けて低いインピーダンスで出せるから、というもっともらしい理由のほかに、10EW7のバラツキが影響しにくいのではないかと考えたこともありました。
出力管として10EW7(T)はペアに近い組み合わせの球を見つけたものの、小さい方の三極部についてはペアになる保証は全くないので、特性のバラツキが影響しにくいと思われたカソフォロに使ったのです。
3段増幅にすれば当然、利得の左右のバランスも取り難くなります。10EW7は所詮テレビ球、バラツキはかなり大きいのです。
そう考えると、改造前のμフォロワで上に10EW7(t)を、下に6J11を使った初段というのは、純粋な差動増幅回路といえるのかどうかを別にすれば、出力インピーダンスは下げられるし、増幅率は大きめに取れるし、10EW7(t)のバラツキも可変抵抗を入れれば吸収できるし、と結構できの良い回路だったのかもしれません。
とはいえ、ここまで来たら純粋な差動増幅の王道を行きたい。いまさら後戻りはできません。今回の改造はあくまで途中の段階で、最終目的地は3段差動なのです。