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2008年02月23日

8B8LW小型アンプ改造記

(注意:この項目は、読者がある程度真空管アンプに関する知識を有しているという前提で書いています。ブログ開設当初はそうでない方に向け、わかりやすく書こうと心がけていましたが、文章がどうしても冗長になり、だんだん疲れてきたのでその辺は楽をすることにします)

自分専用の工作スペース(現状)で、ニアフィールド環境で(つまり小パワーで)聴くことを目的とした8B8ロフティン=ホワイト(LWと略記する)アンプは、音質的にはそれなりに満足のいく出来だったが、回路としては欠陥を抱えていた。8B8は6BM8のヒーター電圧違いで、TV向けの傍熱管であり、電源ON直後11秒してから動作する。この【11秒】というのは規格に謳われており、管理された値なので、直結回路としてしばしば問題になる、球が動作状態になるまでの期間の部分的な過電圧や過電流といった問題は回避できていると思い込んでいたのだが、そこに見逃しがあったのだ。

B電源につないだ一部のコンデンサに、この11秒間に定格を超えた電圧がかかっていたのである。オーディオ用のMUSE-KZというグレードで最も高い100V耐圧の物を、ブリーダー抵抗付きの2階建てで180Vのところに入れていたわけだが、これでは定常動作状態でもディレーティングが不足気味なので、もともとの設計が悪かったとしか言いようがない。電圧を低くするということもできることはできるが、本来の球の動作点からはもちろん外れるし、実はもともと電圧としては低めで、もっと上げたいくらいだった。

他にも(1)リレーによるディレイ回路をB電源につける、(2)傍熱の整流管を使用してディレイさせる、(3)定電圧回路をつけて過電圧を防ぐ、などの対策が考えられるが、どうせ改造するなら球の動作点も最適化したい。そうすると電圧は上がる方向になり、定常状態でも確実に現在のコンデンサの定格を越えるので、結局はコンデンサを替えて対応するのがベストなのである。
初段も出力段も、プレート電圧とグリッドのバイアスがともに低めだったのだ。実は初段のバイアスが1.0Vしかなく、ここはせめて 1.2~1.5Vは欲しい。直結回路なのでわずかな電圧の変化も全て積み上がって大きくなっていき、結局は電源トランスのタップを250Vから280Vに変更することになった。
すると今度は、電源ON直後の11秒間に加わる電圧が、さらに高くなってしまう。さらにいくつか耐圧を超える部品が出てくるので、単なるリップルフィルタを定電圧回路に作り変え、一時的にでも高い電圧が出力されないようにした。もともとTrを使ったフィルタだったので、もう一つのTrやツェナーDiを追加し、ちょっとした改造をするだけで定電圧回路になるのだ。上記の(3)の対策を実施したわけだ。
(1)の対策は、リレーまで導入すると大掛かりになり、現状の狭苦しいシャーシに収めるのが困難になる。(2)では、当然ながら整流管を立てるためのシャーシの追加工が必要になり、面倒な上にデザインも崩れてしまう。整流管は消耗が激しく、できれば使いたくないので、割とすんなり(3)に絞られた。

出力段の動作電圧を変更した結果、カソードの抵抗がさらに増えることになった。もともと2KΩ5Wと1.5KΩ5Wのセメント抵抗を直列にしていたが、さらに2KΩ5Wを追加して合計5.5KΩにする必要がある。さすがにセメント抵抗3つ直列というのは格好悪い。セメント抵抗は2KΩぐらいが上限で、あまり高い抵抗値がないので、これしかやりようがない。ホーロー抵抗ではもう少し高い抵抗値もあるが、5.5Kなんて半端な値はないので所詮は2個以上の組み合わせになる。酸化金属抵抗でもいいが、5Wが最大になるので、消費電力を分散させるように3個以上使わざるを得ないのだ。結局、単なる電熱器がゴロゴロすることに変わりはなく、どう考えても格好は悪いままだ。
どうせなら、ここは定電流回路にしたほうがスマートだ。定電流回路は信号が流れないが、もともとカソードとB電源をコンデンサで直結にしていたので、影響はない。むしろ、カソードからGNDに漏れる信号が完全になくなるので好都合である。シングルアンプでのカソードへの定電流回路挿入は、以前にぺるけさんの掲示板で話題になるなど、やってみたかった手法でもあり、トライすることにした。

さて、回路図は これ(PDF) である。
初段は無難な設計だ。実はここも、カソードと+Bをコンデンサで最短化しようとしたが、超低域発振のような不安定な状態になってうまくいかなかった。カソードに負帰還を戻しているのがいけないのかもしれないが、よくわからない。

とにかく、短時間でも部品の定格を超えるような条件で使っているところはなくなり、安心して使える状態になった。しばらく連続通電してみても、特に異常はない。
測定結果などは、また別途。

投稿者 clad : 2008年02月23日 00:18

コメント

お久しぶりです、少し春めいて来ましたね。
回路図拝見いたしました。
私も解らないところですが、超低域発振はモーターボーデング
みたいなモノでしょうか。お話の回路にすると初段のデカップリング回路を入れると
安定する様に思うのですが、どうでしょう。

投稿者 artist-mi : 2008年03月01日 21:07

コメントありがとうございます。そちらも少し暖かい気候になってきましたでしょうか? 今は女房の実家の筑波に来ているのですが、そろそろ本格的に花粉症が出始めて、春の辛さを思い出しています。
ご指摘の部分、モーターボーティングとは違いまして、大容量コンデンサを充放電させているがごとく、音声信号自体が数秒ごとに左右でふらつくのです。
実際に+Bが数秒周期で上下するので、そのまま実験を続けるのは危険かとも思い、それ以上の追究はやめてしまいました。ちょっと悔しかったので、いずれ実験回路を組んで再チャレンジするつもりです。

投稿者 clad : 2008年03月02日 08:31