« 恐怖の泳手たち(※) | メイン | 聖火リレーを見てイヤな想像をしてしまう件 »

2008年04月08日

【自作アンプ】10EW7差動PPアンプについてまじめに考えてみる

自分専用スペース用のミニアンプ改修に一応の目処をつけたところで、放置していた10EW7の差動PPアンプについて、初心に帰って考え直してみた。

10EW7という球は、いわゆる“駄球”である。正体はテレビ用の複合管で、大小二つの三極管が封入されている。ピンはMT9と同じだが、ガラスの外径は30ミリ近くあり、太くずんぐりとしている。
大きいほうのユニットはプレート損失が最大10W、直線性は五極管の三結みたいであまり良くないが、差動で使うなら大して問題にはならない。
小さいほうはμが20弱で、特性的には12AU7に似ているが、プレート損失は1.5Wどまりというものだ。アンプに仕上げるには、この2つ以外に、もう1段の増幅が必要になる。

10EW7差動PPの1号機は、Zp=8kΩの東栄のOPTを使用し、前段は6J11という双五極管(これも駄球!)を使って増幅率を稼いでいた。五極管をそのまま使うと内部抵抗が高くて高域特性が悪くなるので、10EW7の小さいほうのユニット10EW7(t)を使って、SRPP風(いわゆるμフォロワ)として用いていた。

これはこれで、意外とよくまとまったアンプだったように思える。
そうはいっても、10EW7も6J11もバラツキが大きく、PPバランスをとるのも結構苦労した。出力段はボリュームでいくら慎重に合わせても、時間とともにあっちに振れたりこっちに振れたりする。
初段も初段で、μフォロワの10EW7(t)のカソード抵抗値を750~1.2kΩの幅で調整しないとバランスが取れなかった。
もちろん球を交換すれば調整はし直しだし、6箇所ものボリュームを調整するのが鬱陶しくて、大幅な改造に踏み切った。

出力段のユニット10EW7(T)でバランスが取れることを重要視すれば、小さいほうの10EW7(t)がばらつくのは目をつぶることになる。そこで、小さいほうはカソードフォロワに使うことを考えた。μフォロワの上の球として使ってもカソードフォロワには違いないはずだが、6J11とプレート電流が共通化されるので、バランスをとるのが厄介なことになる。

単純にそれだけの改造にとどめればよかったのに、余計な色気を出したのが失敗の元だった。
10EW7(T)の動作点を変更し、出力トランスもハモンドの物と取り替え、より高いプレート電圧と負荷インピーダンスを与えて高出力化を狙った。初段はただの五極管とカソードフォロワの組み合わせにせず、超三極管接続Ver4という、まだ採用例もほとんどない、特殊な形式に挑戦した。これが大失敗で、動作原理の研究不足のため、まともな音が出せず、結局普通の五極管+カソードフォロワに変更した。
これで一応まともな音が出るようにはなったが、ちょうどその頃そろえた測定器で最大出力を測ると、2Wそこそこしか出ないことがわかった。設計上は8Wを狙っていたのに、である。

改造に改造を重ねたため、中身もごちゃごちゃと何が何だかわからなくなっており、いじりにいじってこのアンプに飽きてきたこともあって、結局ここで放り出してしまった。そのままで現在に至っている。

やりかけたことを放り出したままにするのは、やはり忸怩たる思いがある。
大体、10EW7は素質のある球だと思う。大きいユニットは内部抵抗が低いし、小さいほうは直線性がよさそうだ。
ところがテレビ球らしくバラツキが大きくて、沢山買って選別して使うしかないし、大小ユニットの両方でバランスを取るのは絶望的だ。
困ったことに、そういう使いにくいところが、なんとか上手く使いこなしてみたいという挑戦意欲を掻き立てるのだ。

さて、どうするか。

案1)正攻法の三段増幅への改造
当たり前の解決策のようだが、これはこれで難問である。シャーシ(全段差動標準シャーシ。スチール製で追加工が大変)の関係で使える電源トランスに制限があり、あまり高い電圧が取り出せない(電流を犠牲にすれば選択肢はあるにはあるが、そうなると出力が小さくなる)。結果的に球だけでの三段増幅は、正直厳しい。FETを使う手もあるが、そうなると球2つ分の穴がぽっかりとシャーシに残ってしまい、何かで埋めないと体裁が悪い。ケミコンを立てるのはあまり趣味じゃないし、無意味な球を適当に光らせるのもできなくはないが、合理性を欠くのでポリシーに反する。
案2)現行回路の再検討
6J11のSG電圧まわりに詰めの甘さがあるのはわかっているので、もう少し追求してみる。やってできなくはないだろうし、10EW7の(t)と(T)を直結に変更すれば、A2級動作で出力アップも狙えるかもしれない。でも、A2級の差動回路ってありなんだろうか?
案3)超三結Ver.4の再挑戦
いつかはやってみたい気もするが、しばらくは無理でしょう。せめてシングルで試してからだと思う。

というわけで、妥当に案2かなぁ。

投稿者 clad : 2008年04月08日 09:08

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.microcosmo.jp/cgi-bin/mt-tb.cgi/137

コメント

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)