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2008年09月03日

秋の声

まだ残暑が厳しい今日この頃ですが、外を少し歩くと、街路樹から秋の声が聞こえるようになっていることに気づきます。

都会の街路樹で五月蝿いほどの鳴き声を上げているのは、アオマツムシという外来種の昆虫です。正確には外来種かどうかはっきりしないのですが、19世紀から20世紀への世紀の変わり目前後に、東京都の赤坂榎木坂ではじめて見つかったというのですから、まず外来種と考えて間違いないでしょう。
この虫は繁華街の木にも大挙して住み着き、街の騒音に負けないくらいの鳴き声を張り上げるので、決して風流な存在ではありません。
日本古来の鈴虫などとは全く違います。
それでもやはり、都会のあまりにも無味乾燥な、“殺風景”ともいえるサウンドスケープに、少しでも潤いを与えてくれているのかもしれません。

アオマツムシと同様に、樹上で生活する昆虫で、秋に鳴くものといえば、カネタタキがいます。これも都市部の街路樹や庭木にいるのですが、姿も鳴き声もアオマツムシよりずっと小さく、静かなところでないとその存在に気づくことが出来ません。
アオマツムシの声の届かないところで、ひっそりと「チッチッチッチッ」と鳴いているのが、今このマンションの部屋からも聞かれます。フォーレのピアノ四重奏曲に重なるように。

昼間は暑くても、夜はだんだん過ごしやすくなってきました。今宵もまた、何か冷たいものを満たしたグラスを手に、ベランダで虫たちの声に耳を傾けることにしましょう。昼の間に心の中にできた硬いしこりを、せめていくらかでも解きほぐしてから、夜の眠りにつくために。

投稿者 clad : 2008年09月03日 23:21

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