2011年09月04日
【ヘッドホンアンプ】ポータブル版をいくつも作るの巻
この夏は、節電ブームのため、消費電力を抑えた(出力も控えめの)アンプを作る予定だったのですが、全然手を付けられませんでした。
というのも、ポータブル仕様のヘッドホンアンプを作ったら思いのほか好評で、クラシック音楽好きの友人二人から注文を受け、作ることになったためです。
仕様はこちらのものそのまんまで、オリジナルの工夫はほとんどありません。
ただ、ユニバーサル基板に実装するので部品の配置をかなり工夫して、作例よりも一回り小型のケースに収めているのが最大の工夫ですね。
この通り、ぎっしりです。
そして外見はこんな感じ。ほぼスマートホンと同じサイズです。
お酒を入れる携帯容器、スキットルというのだそうですが、それに似ているということです。
音は、やはり普通の携帯プレイヤーだと電池寿命とコスト最優先で、音は二の次三の次になっているため、これを通して聴くと全然違います。ちゃんとオーディオの音がします。
人にさし上げて喜んでもらえるのはうれしいのですが、小型に仕上げるため、はんだ付けの作業も細かく、作るのが少々しんどいのも事実です。老眼の身には堪えます。
ですので、こちらから「作ってあげましょうか?」などと持ちかけたりはしないことにしています。
2011年06月26日
【真空管アンプ】UL接続と差動PPの試み
更新間隔があくと、何を書いていいかわからなくなってしまいますね。
もう日常の細かいことをブログに投稿するよりも、記録として残しておきたいことだけにしようと思います。
とはいえ震災。これは日常生活にも大きなインパクトを与えました。
それはアンプ製作も同様で、電力をいたずらに消費するアンプを作っても、それで音楽を聴くことに罪悪感を覚えてしまうので、自然と低消費電力を志向することになります。
いよいよ本格的に暑くなって、電力の需給も心配になってきましたので、思い切って低消費電力のアンプを作りたくなってきました。
しかし、今回ご紹介するのは、震災前から計画していたもので、メインアンプ用としては電力の消費を抑えつつ、出力10Wを狙ったというものです。
計画はいくつもあったのですが、比較的低消費電力、ということからこのアイディアを形にしようと思い立ったのでした。
まずは回路図です。
UL接続で作動プッシュプルの出力段を組んでみました。
以前からやってみたかったのですが、ちょうど手元にB電源用の巻き線が250V250mAというトランスがあったので、これを活用することを考えたら、
ちょうど6L6がうってつけだったので、採用してみたというわけです。
結果として、150VAのクラスの電源トランスから、片チャンネル10W強の出力を得ました。
差動PPアンプとしてはなかなか効率的な動作と思います。
もう一点、今回はアンプの全高を低くする必要がありました。今のテレビの下のラックに押し込む都合からそうなったのですが、そのために部品点数を減らして極力シンプルな回路にし、薄型のシャーシに組み込むことを考えました。
そのため、今まで全てディスクリートで組んでいた出力段の定電流回路を、レギュレータICを用いて簡単に済ませることになりました。電源回路も特別なことはせず、もちろんチョークコイルも使わず、こういう形になりました。
周波数特性、クロストーク、ダンピングファクタは以下の通りです。
2段差動なので高域が早目に落ち込むことが懸念されましたが、クロス中和を用いて頑張ってのばしています。
ダンピングファクタが低いのは、内部抵抗の高いUL接続ですから仕方のないところでしょう。これをもっと高くするには、3段差動に改め、ゲインを稼いでおいて、負帰還量を多くするしかありません。
続いて歪率。
最低値はまずまずですが、三極管接続の普通の差動アンプに比べるとどうしても歪みが多くて、出力増加と共に立ち上がる上昇カーブの上がり方が早いです。
前作のEL34三結差動アンプと比べると一目瞭然です。
とはいえ、音がダメダメかというとそうでもありません。
EL34三結差動は大変優等生的な鳴り方で、比較するとこちらはやや間接音が少ないようで、ホールトーンが抑え気味な感じがします。
それと裏腹に、ソースによっては音が整理されて聞きやすくなります。
音色は大変結構です。
DF=2.0の値からも予測がつく通り、低音は全般的にゆるく感じるのですが、これは私の好みの方向でもあります。メインで使っているウィーンアコースティックのT-3というスピーカーが、まさにこういう特性です。
コンサートホールで生の音を聴くときも、低い音は明確に定位するような気がしません。だからこれでいいような気がします。オーディオとしては物足りなく思われるかもしれないですが、音としてはこれが自然なんじゃないかな、と。量感はたっぷりあるし。
低域に目をつぶれば、楽器の定位も悪くなく、それなりに仕上がったと思っています。
ラックに収めたところです。左の一番上です。薄型なのがお分かりいただけるでしょうか。
正面に窓がついていますが、ここは加工済みのシャーシに最初からついていたので、どうしようかといろいろ考えた挙句、LEDのレベルメーターを点けることにしました。
実はアンプ本体の製作を先に仕上げたところで、メーターは後から付けるつもりなので、まだついていません。これがノイズ源になったらいやだなぁ。
2010年12月18日
【自作アンプ・EL34編その6】歪率・ダンピングファクタ
ようやく歪率とダンピングファクタを測定するところまでこぎつけました。
非常に低い値ですが、100Hzでの下がり方が変です。
ハムやノイズがあるのであれば、100Hzに限らず小出力では一様に歪が増えるようなグラフになるはずですが、1W以下でこんなに0.1%弱に張り付くというのは何が起きているのでしょうか。
値としては十分に低いのですが。
ダンピングファクタは、ほぼ10というところでしょう。ミリボルの読み取り誤差があるので、余り正確なデータではありません。
広域でいったん盛り上がってから下がるのと、低域で若干下がるという傾向は間違いないようです。
若干の疑問があるのですが、数値的には十分なレベルといえますね。
一連の測定を終えて、やっとメインシステムに設置しました。リスニングでの評価はこれからです。
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2010年12月17日
【自作アンプ・EL34編その5】残留ノイズとクロストーク
本当は歪率までまとめて掲載したかったのですが、測定に時間がかかるので次の週末までかかりそうです。
残留ノイズが1mV付近でなかなか下がらなかったので、アースの取り回しを見直したところ、劇的に下げることができました。
現状は左が0.05mV、右が0.07mVというところです。測定系のバックグラウンドノイズは0.01mVです(PCやデジタルオシロなどの機器をオフにした場合。エアコンまでは配慮せず)。
ノイズが多かった原因は、スピーカー端子のグラウンド側を、不精して手近なアース母線に繋いでいたためでした。セオリー通りに、初段のNFB付近でアースしたらいきなりこの数値に下がりました。
やはり基本は大切ですね。
ノイズが下がったので、クロストークや歪率の測定に移ることができました。
高域の悪化は配線間の飛び付きでしょうか。不可解な谷がありますが、気にすべきレベルではないと思っています。
とりあえずここまでは、十分満足すべき値が出ているかなと。
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2010年12月03日
【自作アンプ・EL34編その4】周波数特性の訂正版
昨晩、0.1W出力のときの周波数特性も測ろうとしていると、様子がおかしいことに気づきました。
どうやら、400kHzのピークの値を測ったとき、測定器のレンジを読み違えていたようです。
なんという初歩的なミス!恥ずかしくて言葉もありません。
やり直したものが下のグラフです。
今度は、400kHzの山の高さも常識的です。
スーパーワイド、の名前に疑問を呈したりして、サンスイの関係者の方?(※)には失礼しました。
※もう、トランスの関係者なんて、少なくとも現役ではいないかもしれませんが。
ちなみにトランスには「01-1」というロット表記らしきものがあります。01が年号とすると…2001年、はありえないので、平成元年かな?そんな最近のものじゃないかもしれません。
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2010年12月02日
【自作アンプ・EL34編その3】周波数特性
オシレーターの具合が悪いと思っていたのですが、どうやら出力のコネクターの接触不良だったようで、交換したら治ってしまいました。お恥ずかしい。
というわけで測定してみました。
方形波を観たときに、ノイズまみれながらも高周波のピークを抑える必要性はわかったので、NF抵抗に300pFをパラって微分回路としています。これでも足りないんじゃないかというくらいのうねりですね。ピークは400kHz辺りです。
幸い、40kHzでも10Wで‐3dB落ち以内ですから、高域特性はがんばっているといえるのかな。
サンスイの「SW30-8」という出力トランスを使っていますが、期待したほどフラットな特性ではないですね。「SW」は「スーパーワイド」の略称だと聞いたことがあるのですが…。
以前はオーディオに100kHz以上なんて求めなかったから、これでもワイドだったのかもしれませんが。
実際、SACDにだって音声信号として含まれるのは50kHzどまりなので、現実的なソースを考えればこれで十分ともいえます。
低域の伸びは、さすがに30Wクラスです。
歪率やダンピングファクタは、また後日測定します。
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2010年11月29日
【自作アンプ・EL34編その2】名前
新作アンプは、なかなかいい感じで鳴ってくれています。
既にメインシステムに定着しており、低音の力強さでワンランク上の音が、聞きなれたはずのスピーカーから出るようになりました。
ただ、相変わらず測定器(低周波発信器)の調子が悪いので、特性が測れません。
家族が「名前はなんにするの?」と聞いてきました。子供たちに任せておいてもポケモンの名前など、ろくな提案はしてくれないので、自分でしばらく考え、ワイン用のぶどうの品種名をもらって名づけようと思い立ちました。
この新作はカルメネール、としようと思います。
Wikipediaより:
カルメネール(Carménère)は元々フランス・ボルドー産の赤ワイン用の品種であったが、結実が悪かったため現在この地域では見かけない。代りにチリでは良く育ち、この国を代表する品種になった。…
最初なのでどれにしようか迷いましたが、シャーシがワインレッドなので赤ワイン、動作させるまでに苦労したので栽培の難しい品種、今まで飲んで気に入ったもの、ということで選びました。
ちょっと渋すぎたかなぁ。
本当は、マルベックというのも考えたのです。ちょうど先日、このアンプが完成してから最初に買ったワインがマルベックだったので。しかしマルベックのワインは個性が強いというのがもっぱらの評価なので、癖のない鳴り方をするアンプとは方向性が一致しないように思えて断念しました。
カベルネ・ソーヴィニヨンとかシャルドネといった王道中の王道的な名前をつけてしまうと、もうこれで打ち止めという雰囲気が漂うし、かといって中途半端な品種ではなく、良いワインが作れる品種名を選びたい…などと凝りだすと、なかなか適当なものがなくて困りましたが。
次からはもっと、直感で決めよう。
投稿者 clad : 00:31 | コメント (0) | トラックバック
2010年11月22日
【自作アンプ・EL34編その1】結局出来上がったのは…
長らくブログに投稿できなかったのは、このアンプに梃子摺っていたからといえなくもありません。
何しろ今回は、自分としては半田付けの忘れやミス、配線の間違いが多くて、まともに動作するまでにえらく時間がかかりました。ここ3作ばかり一発完動が続いたので、甘く見ていたのだと思います。
今回は下のように、それなりに部品点数も多くて込み入っているので…というか、実は進行した老眼が影響しているのは否めません。
この通り、当初の構想とはまったく別物に。
当初は6BL7GTをパラで差動PPにしようか、などと考えていたのですが、その後250V250mAという巻線のある電源トランスを手持ちで持っていることに気づき、これがまた使う予定だったシャーシにほぼぴったりおさまることから、すっかり「出力10W+10Wを超えたい」という意味のない(笑)欲求に取り付かれてしまいました。
紆余曲折を書くと
1)250V250mAのトランスを使うと、6L6をUL接続で使うならいけそう。
2)(当初の予定だった)PMC-170Mでも、チョークインプット整流なら十分な電流を取り出せないか?350V巻線を使い、C電源でグリッドをマイナスに引っ張れば、EL34でもいけるのでは?
3)2の構想で設計し、実際に着手。一通り組むが、思うように動作せず断念。
4)いまさら別のシャーシに組みなおす気がせず、PMC-170Mと同サイズでDC400V280mAが得られるよう、春日無線変圧器に電源トランスを特注。送料込16,000円也。
これで最終的には何とか動作するまでにこぎつけたのです。
しかし、チョークインプット整流が上手くいかなかったのは、構想に無理があったのか、そのほかの配線や半田付けのミスで上手くいかなかったのか、今となっては判然としません。
いずれ再挑戦してみたい気持ちもありますが、チョークインプットは難しいですね。専用のチョークコイルはめちゃめちゃ高いので使う気にはなりません。
一般のチョークはそのままだとうなりを生じやすいので、入り口に小さなコンデンサを挿入しますが、これが大きすぎると普通のコンデンサインプットになってしまう。そうなると出力電圧が一気に高くなります。チョークインプットだと巻線に書かれたACの電圧(実効値)そのままでDCが出ますが、コンデンサインプットだとその2~3割増。
今回のように、半導体を多用して定電流回路やDCバランスサーボなどを組み上げると、これほど大きく電圧が変動しても大丈夫な回路にするのはなかなか難しい。
しかもチョークインプットにするとチョークから大量の漏洩磁束が出るそうで、これが問題を引き起こさないように気をつけないといけません。
アンプだけでなく、周囲にはいろいろな機器を設置しますから、そちらに迷惑を及ぼさないとも限りません。
いまどきはチョークインプットをアンプに使う人は少ないためか、まともな設計指南書にもお目にかかりません。Webを探しても、概要の解説はあっても、実装上の勘所などは書いてありません。しばらくは棚上げということになりそうです。
個人的にはDCバランスサーボが上手く動いているのがお気に入りです。出力段のDCバランスが崩れると、低音が出なくなってしまいますが、普通はボリュームで球ごとに調整するのを、自動調整するようにしたのです。
10EW7のようなテレビ用の球を使った際に、一度合わせたはずのバランスが時間の経過とともに狂ってしまうことを経験したので、これはぜひともつけたかった回路です。
とはいえ、いい加減なテレビ球と違い、EL34のような球であれば、こういう回路は余り必要ないのかもしれません。精神安定剤のようなものなのかも。
特性の測定もしようとしたのですが、発信器の具合が悪いのです。アンプにつなぐとあまりにもノイズが大きいのでおかしいと思ったら、アンプにつながなくても、ケーブルを通しただけで(先端は開放なのに)信号にノイズがのりまくり。まずはこちらを修理しないと。
というわけで測定は後回しで、とりあえず音楽を鳴らしております。
自画自賛ですが、なかなかいい具合です。これまでの自作品とは、低音までしっかり鳴らすという点でワンランク上です。今のところ、苦労の甲斐はあったというところでしょうか。
投稿者 clad : 13:36 | コメント (3) | トラックバック
2010年07月03日
【新作】といっても検討だけですが、開始。
腰痛とか、いろいろ忙しかったり(仕事も、私事も)して、半田ごてや測定器を操作するにはなかなか至りませんが、設計だけなら気分転換にもなるので、ちょっと始めました。
ただ、実際に製作する前提だと、シャーシを加工したり塗装する根性がないのが最大のネックになります。
出来合いのシャーシに部品を載せるだけ、ということになると、その時点で設計の自由度が極端に少なくなりますね。
塗装も加工も終わっているシャーシの手持ちとしては、これの構成を模したものが2つもあり、これを活用しようということになったわけです。
トランスは穴位置の関係で、ほぼ決まってしまいます。手持ちから選ぶと、TANGOのFX40かXE-45なのですが、XE-45はちょっともったいないので(貧乏性です)、FX40-10にしました。
メインに使えるように、球は沢山持っているEL34を使うことも考えたのですが、折角いい球をおごっても、大型の電源トランスを装着できないので、宝の持ち腐れになってしまいます。プレート損失の設定値を控えめに使ってもいいことはいいのですが、なんとなくもったいない(またも貧乏性)。
唯一使える大型の電源トランスがソフトンのPWT280-300ですが、これは高さが高くて、居間のラックに入れられなくなりそうなのでやめました。
手持ちの電源トランスで、載せられるのはノグチトランスのPMC-190Mか170Mになります。これだとPP出力管4本の1本あたりでは、多くても40mA供給するのがせいぜいです。
プレート電圧に300Vを加えたとしても(この時点で190Mは使えません)、球のプレート損失は12Wという計算になります。15Wにもっていくのは厳しいでしょう。
それなら、球1本あたりのプレート損失は10~12Wでいいことになります。
その条件にぴったりな球で手持ちというと、6BL7GTがありました。
この球は案外無名で廉く手に入りますが、改良されて6BX7(オーディオ用に定評ある球)になったことからも、素性が良さそうです。内部抵抗が高いのが欠点ですが、2ユニットをパラで使うことで、実質1.1kΩ程度にすることができます。これなら、FX40-10との組み合わせで、差動回路にすれば無理のない出力が得られそうです。
実際、内部抵抗が約1kのEL34を差動回路で使うには、一次インピーダンスが8~10kの出力トランスとの相性がいいという検討結果があります。
実際にロードラインを引いて動作点を検討してみました。
動作点の検討をするとき、私はパワーポイントを使います。球の特性図を画像として貼り付けた上で、ロードラインを動かして検討するのに適しているからです。
赤っぽい2本の曲線は、プレート損失の5Wと6Wの線です。各ユニットは10Wが上限ですが、2本を同時に使うときは合計で12Wまでという制限があるためです。
2ユニットをパラで動作させますが、動作点の検討は1ユニットで行います。電流は半分、負荷抵抗は2倍とみなして検討したのが上の画像で、青緑の線は負荷8kΩ、青の線は負荷10kです。通常の差動回路では、トランスの一次インピーダンスの半分の値でロードラインを引きますが、今回は2ユニットをパラにするため、1ユニットあたりでは実際の倍の負荷になるので、そのままの値で良いわけです。
ゼロバイアスの線との交点から読み取った電流値は、10kの場合で約36mA。差動回路では、この半分の18mAを動作点とします。
ロードライン上で18mAの点を探すと、プレート電圧は290V程度(青い丸のところ)になります。このときのバイアスは-15Vくらい。
1ユニットで18mAなら、球1本で36、4本で144。PMC-170Mを使えば電流容量は余裕、電圧は290Vの巻線ではむしろ高めに出そうですが、190Mではちょっと厳しい。170Mが妥当でしょう。簡易計算で、出力は約6.5Wになります。
この動作点では、おそらく内部抵抗は1.1kよりも高いでしょうが、インピーダンスが10kより高いトランスは入手が難しいので、今回はこれで行くこととします。
出力管は6BL7で、各管2ユニットのパラ構成。出力と電源のトランスも決まってしまいました。
6BX7で同様な構成にしたアンプで、球の寄生容量が大きくて高域が早めに落ちてしまったことがあったとか。これをクロス中和という手法で改善した作例がありました。これは大いに参考にさせていただきましょう。
というわけで、最初の一歩を踏み出しました。まだ何も手を動かしてはいませんが、このあたりが一番楽しい作業です。
次はドライブ段を検討します。
投稿者 clad : 22:59 | コメント (2) | トラックバック
2010年03月13日
【PCで音楽】再構築顛末記その3~携帯型プレーヤーなど
前回の投稿から間があいてしまいましたが、その間何をやっていたかというと、ひたすらCDのリッピングをやっておりました。
で、ディスクユニオンの買取査定20%アップのキャンペーン期間中に200組を売却できました。これがまたCDやアンプ部品の購入資金に回るわけですが。
でも考えてみれば、所詮は売却するようなCDなのですから、ヘビーローテーションで聴くようなものであるはずもなく、保存用という意味合いが強いのですね。
で、こんな携帯型のプレーヤーを(オークションで安く)手に入れたのですが、取り込み済のファイルはいずれも、余り繰り返し聴きたいものではなく、どんどんファイルを入れ替えたくなってきています。
この“iAUDIO 7”の製造元は韓国メーカーのCOWONですが、なにしろFLAC形式のファイルを再生できる携帯型プレーヤーはCOWON社の製品しか見あたらないので、必然的に一択になってしまいます。
なおかつ小型で、バッテリー駆動時間が長いもの(※)というと、この“iAUDIO 7”しかないというわけで、悩む余地はありませんでした。
※バッテリー駆動時間が短いと、頻繁に充電することになるわけですが、それは自然とバッテリーの寿命を縮めることにつながります。充電を繰り返すと、バッテリーは劣化して次第に充電可能な容量が減っていきます。容量に余裕があれば充電回数が減らせる、バッテリーの劣化も少なくなる。すなわち製品自体も長く使えるというわけです。
もう一つ、Liイオンバッテリーを長もちさせるコツとしては、フル充電しないような使い方を心がけるということでしょうか。一部のノートPCに、あえて80%とか50%までしか充電しないように制御できるものがありますが、これはバッテリーの劣化を少なくするための工夫です。以上、豆知識でした。
“iAUDIO 7”は確かにFLACファイルを認識して再生してくれるのですが、私がリッピングしているのはCDのイメージファイルという形式で、全てのトラックをまとめて一つのファイルにしています。これとは別にCUEシートという別ファイルでトラックなどの情報を管理していて、これを“iAUDIO 7”は認識してくれないのですね。
トラック送りのボタンを押すと、いきなり次のCDに飛んでしまいます。タグ情報もFLACタグは読んでくれますが、オペラやオラトリオなどの大勢の演奏者情報や、オムニバスアルバムの曲情報などは認識させることができません。
携帯型プレーヤーで外出先で聴くということが主眼ではなかったわけですので、この辺りは割り切って使うことにします。というか、他に方法がありませんので(※※)。
※※トラック毎に1つのFLACファイルという形にすることも可能ではありますが、既に売却済みのCDは今更どうしようもないですし、今から1トラック1ファイルに方針転換するというのも、なんだか首尾一貫していなくて気分的に面白くないので、このままの方針を貫くつもりです。
実は、このCDイメージ+CUEシートの形式で音楽再生させる場合、前回はLinuxではAudaciousというソフトを使うと書きましたが、これでは確かにCUEシートの内容を読み込んではくれるものの、トラックの頭出しが上手くいきませんでした。トラック名などは正確に読み込んでくれるのに、そこに飛ぶことができないという、まさに隔靴掻痒といった困ったちゃんソフトだったのです。
そこで、現在はAmarokを使っています。これならトラックの頭出しもできるし、各トラックの情報もちゃんと表示してくれます。
ただし、それはきちんとExact Audio CopyというソフトでCDイメージファイルのリッピングとCUEシートの作成ができた場合に限ります。なぜこんなことを書くかというと、もちろん、それができない場合があるからです。
これについてはまた次回書くことにします。
投稿者 clad : 15:38 | コメント (9) | トラックバック
2010年02月20日
【PCで音楽】再構築顛末記その2~可逆圧縮方式
無音PCはLinuxを導入して、動作も軽快で安定しており、そこまではよかったのですが、幾つかの点で困難が生じました。
一つ目は無線LANで、本体内蔵の802.11g接続では最大54Mbpsが規格値で、しかも本体の設置位置では電波受信環境がよろしくないため、10Mbpsも出るか出ないかということになってしまいます。
電波が弱いわけですから、数字上は10Mbpsで音楽再生には十分なはずでも、決して安定しているわけではありません。音楽がプツプツ途切れたりします。
そこで、ネット上でubuntu Linux 9.10で確実に動作するUSBの802.11n対応無線LANアダプタとドライバの組み合わせを探し(古いバージョンのドライバは入手できないことがあるので、入手可能なバージョンで動作できたという情報が必要でした)、ドライバは更新されないうちにダウンロードしておき、無線LANアダプタを購入して導入しました。買ったのはこれです。
最初はドライバのインストール(insmod)がエラーで止まってしまったのですが、古いドライバがリソースを占領していたためで、これを削除(rmmod)することでインストールできるようになりました。
そこからは拍子抜けするほどすんなりと動作し、速度も270Mbpsで接続できました。これなら現状で手に入る最速の環境で、何の問題もありません。
もう一つの問題は、音楽データの圧縮形式をどうするかということでした。
既にMP3の最高音質設定でも劣化が聞き分けられてしまうことは確認できていたので、最初から可逆圧縮(圧縮前のデータに完全に復元できる)方式しか考えられません。
これには方式が幾つもあり、どれが標準ということもいえない状況です。
Apple LosslessはiTunesとiPodしか対応しておらず、これらは決して音質的に最良の組み合わせではないので脱落。
ATRAC LosslessもWindows Media Losslessも再生環境が限定されるのは同様。そもそもこれらの方式はLinuxで再生出来る見込みがありません。
これ以外の可逆圧縮方式としては、Monkey's Audio、FLAC、TTAなどがありますが、一番普及しているのがFLACなのでこれに決めました。
どの方式も携帯型機器で再生できるものが殆どないのが欠点ですが、FLACが最も期待が持てそうですし、なんといっても可逆圧縮なので、後から変換することも可能です(劣化がない。圧縮前の状態に戻してCD-Rに焼くことも可能)。
Free Lossless Audio CodecというくらいですからLinuxとも相性がよく、再生できるアプリケーションも少なくありません。
EACというリッピングソフト(日本語化も可能)と、FLACエンコーダを組み合わせて、CDイメージファイルとその圧縮、CUEシートの作成まで簡単にできます。
ところが、CUEシートを読み込んで動いてくれるアプリがなかなか見つかりません。
最初はFLACファイルとCUEシートをMatroskaというコンテナフォーマットに格納してみたのですが、ファイル名しか認識しないアプリばかりでした。
なにより、ファイル自体はWindowsのPCからも再生できるように、Sambaのサーバー機能を持つNASに置いておきたいのですが、NASにあるファイルを普通に開いてプレイリストに入れることができるアプリが、案外ないのですね。これと、FLACを再生できることを最低条件として、再生アプリを探すことになります。
FLACファイルと別ファイルとしてCUEシートを作成し、拡張子まで含めてファイル名を厳密に合わせる(CUEシートに書き込まれたファイル名もエディタで修正する)ことで、AudaciousでCUEシートを読み込ませることに成功しました。ただ、トラックをサーチしたりすることが上手くいきません。
とはいえ、トラックのタイトルを読んでくれたので、アルバムを丸ごと再生することはなんとかなりました。今後のバージョンアップに期待しつつ、継続して他のアプリも探してみるつもりです。
投稿者 clad : 18:37 | コメント (2) | トラックバック
2010年02月15日
【PCで音楽】再構築顛末記その1~無音PC
ここのところ、すっかり更新頻度が落ちてしまっています。
軽い話題はツイッターでつぶやいてしまうから書かなくなっているわけですが、それ以外にも、ネットブックを買い、それにUbuntu Linuxを導入し、さらにそれで快適に音楽を再生しようという試みが案外苦戦を強いられ、時間をとられていたというのも原因の一つです。
それもようやく一段落してきたので、その顛末をまとめておこうと思います。
下記のようなことを買いたのは、昨年の9月の投稿分でした。
“型落ち品のDELLのInspiron Mini9という最初のネットブックの新古品を格安で購入しました。キーボードは使いにくいし、液晶画面は狭苦しいし、小さい割りに重いし、筐体もチープです。
ただ、ファンレスなので確実に静かです。この一点のみに注目して買うことにしました。どうせキーボードもディスプレイも、外付けにして使うのでどうでもいいのです。”
それはまあその通りだったのですが、実はその後も結構苦労させられました。
まず、USBオーディオインタフェースのドライバがまともにインストール出来ませんでした。
これは結局、OS(Windows XP)をリカバリをかけて、クリーンインストールした直後にドライバをインストールするなどして、なんとか使えるようにしました。
しかし、しばらく使っているうちにWindowsが余りにも動作が重くて使い辛く、イライラすることが多くなってきました。
メインメモリやSSD(HDDの代わりのフラッシュメモリーを使った記憶装置です)を増設しても殆ど効果なし。
そこで一念発起し、Linuxを導入することにしたわけです。
Linuxにもいろいろあるわけですが、ネットブック用のパッケージがあるUbuntu Linuxを選択しました。
インストールはCDのイメージファイルをダウンロードしてCD-Rに焼き、それを使ってブートし、あとは指示に従うだけ。事前にパーティションを切っておけば迷うこともなく、あっさり終了します。昔からPCの自作でOSのインストールは慣れているので、大して戸惑うこともなく。なんにせよネットを探せば情報はすぐに見つかるので、心配はありません。
OSとしても、最初は使い慣れなくて戸惑う部分もありましたが、ヘルプがわりと充実していて助かりました。また、Windowsとのデュアルブートにしてあるのでいざという時も安心。動作は軽快で小気味良く、ブラウザからオフィスまで必要なアプリケーションは最初から入っているし。
さらにUSBオーディオもあっさり認識して当たり前のように動作しました。
ここまでは何もいうことがなかったのですが…。
難航したのが、無線LANの導入でした。本体に内蔵する802.11g規格(理論値54Mbps)のアダプタは簡単に認識して動作もしましたが、それまで外付けで使っていたUSB接続の802.11n(同130Mbps)の子機がどうしても動作してくれません。
使いたい場所が、無線LANの親機との見通しが悪く、電波が届きにくいために通信速度が出ないので、USBのケーブルを長めに引き回して、その子機を親機からの見通しのいい場所に設置して通信速度を確保していたので、これは結構痛手でした。
特に、ネットワークに繋いだ独立のサーバー(と言ってもHDDケースにLinuxで動くSambaサーバー機能を追加した程度のもの)に音楽データを置いておき、それをPCで再生、USBオーディオインタフェースを通して自作真空管アンプで鳴らすという環境のために、型落ちの無音PCをわざわざ買ったようなものですから、通信速度が遅くて音楽が途切れがちになったりしては意味が無いわけです。実際、ブラウザなどで通信が発生すると、音楽が途切れたりします。
さて困った。
実は問題は他にも幾つかありました。続きはまた日を改めて書きます。
投稿者 clad : 00:48 | コメント (0) | トラックバック
2010年01月03日
【アンプ製作】気がつけば、あたりは駄球ばかりなり
明けましておめでとうございます。
このブログを始めた当初は、音楽と自作オーディオのことをメインに書きたいと思っていたのですが、気がつけば本当に気の向くままに書き散らかして来てしまいました。継続的に書くようになったのは2006年の2月からですから、そろそろ4年が経とうとしているところです。
音楽については、前回少しだけ触れましたが、個人的な鬱屈やトラウマと切っても切れない関係にあり、実はかなり腰を据えてかからないと、そうそう気楽に書けるネタばかりではないのです。
オーディオの方は、製作の記録的な意味合いで書くので気は楽ですが、製作自体にそうそう時間が取れないので、書きたくてもネタが続きません。
特に子供達のダブル受験、ダブル新入学と続いたこの数年は余裕がなく、旧作の手直しがせいぜいでした。
最初に作った銘球2A3のシングルアンプは、高級品のトランスを奢ったまでは良かったのですが、やたら重量級となってしまい、持ち上げるのも一苦労で、気軽にメンテナンスもできません。
アンプをいじること自体を楽しみたい私としては、いくら音が良かったとしても(実際良かったのですが)これは失敗作と言わざるを得ません。やむなく、一旦押し入れにしまわれることと相成りました。
現在は、リビングのメインシステムは10EW7というテレビ用の球の差動アンプと、12G-B3というこれもテレビ向けの球を使った超三結シングルアンプで、4chサラウンドを構成し、SACDや映像付きの音楽ソフトを楽しんでいます。いずれ5.1chに拡張するかもしれませんが、今のままでも満足しているので当面はいじるつもりはありません。マンションのリビングという、音の響き方という面では最良とは言い難い環境を、サラウンド再生はよく補って臨場感を出してくれています。
本来の音楽ソフト再生用に作られた球は、実に一本も使っていません。使ったのはどれも、いわゆる「銘球」に対する「駄球」と呼ばれる、無名の真空管達です。
アンプ製作部屋では8B8というこれもテレビ向けですが、一応音声増幅用の球を使ったシングルアンプで、ニアフィールドでデスクトップオーディオに設えています。これが最も一般的なオーディオ環境に近いでしょうか。スピーカーも手作りの箱に8cmのフルレンジユニットを取り付けたものです。これがサイズからは信じられないような充実した低音を鳴らしてくれています。
いずれも自作のアンプですが、まともな音で鳴ってくれています。それぞれに何らかの改善の余地はありますが、それがまたいじる楽しみにつながります。
駄球だからといって、出てくる音まで駄目なわけではないのです。
とはいえ、そろそろまた銘球を使って、メインシステム向けに「決定版」と言えるアンプを作りたくなってきました。駄球を使うのは、無名の球でも回路の工夫で楽しむという、実験的な要素が多いわけです。だからこそいじる楽しみが尽きないのですが、純粋に音楽を楽しむためのアンプも、ここらで復活させたいところです。
構想は以前から温めており部品も少しずつ集めてきて、今年こそ実行に移せるのではないかと、内心密かに期待しています。
さて、どうなりますか。
本年もよろしくお願いします。
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2009年07月28日
【アンプ】写真撮りました
撮るには撮りましたが、真空管が光っているところを撮るのはやはり難しいですね。
三脚でも使って、夜景みたいに長時間露光するしかないのかな。
どっちも、写りはイマイチですね~。尤も、外見を気にしたアンプではないんですが。塗装なんかところどころ剥げてるし。なんせ使い回しのシャーシですんで。
昨日、一つ書き忘れたことがありました。
当初、回路図はシミュレータソフトで書こうとしてたんですが、デバイスモデルに定電圧放電管がなかったんです。ツェナーダイオードで代用しようかと思いましたが、やはり過渡的な特性などが変わってしまう可能性があり、どうせシミュレートできないならと、いつも使っている回路図用のCAD(フリーウェア)で書き直しました。
デバイスモデルを自作できるくらい、ソフトに熟練していれば書けたかもしれませんが、そんなのいつになることやら。
まあ回路設計のプロでもなんでもないし、ソフトを使いこなすことが目的ではありませんので、そこまで追求するのは止めておこうと思います。
…と、逃げを打っておこう。
投稿者 clad : 08:08 | コメント (3) | トラックバック
2009年07月27日
【超三結】廃物利用試作アンプが、ようやく完成
今回はかなりてこずらされましたが、ようやく音出しまで漕ぎ付けました。
外観の写真は撮り忘れましたので、いきなり回路図から。
特に何の変哲もない超三結V.1のアンプです。強いて言うなら出力管のカソードに定電流回路を入れているのが特徴といえば特徴でしょうか。ここは当初、75Ωの抵抗は入っていなくて、55mAくらい流していました。プレート電圧をもっと低めにする予定だったからです。ところが初段のカソードのボリュームをいじると、出力段のカソード電位が激しく変化します。歪率や出力を最適なところに調整した際の、出力段のカソード電位が低くなりすぎ、結果的に初段のプレート電圧が30Vくらいになってしまいました。
結果、通電当初は正常に動いていても、放置して暖まり、動作点がずれてくると、初段のプレート電圧が低すぎて増幅できなくなってしまいました。
仕方がないので、電源トランスのB電圧用タップを290Vから320Vに変更し、その分出力管に流す電流を下げることにしました。
これでも、出力管のプレート損失は計算上では13W以上あるのです。この球の定格は10乃至11W(2説あります)ですからオーバーしていますが、赤熱したりする様子はまったくありません。TV球は丈夫ですね。
電源のほうは多少ひねりがあります。まず、スクリーングリッド電圧を作るFETの参照電圧に、定電圧放電管を使用していること。これはいくつか理由があります。
一つには、紫色に光ってきれいだから(^^;。二つ目は、廃物利用のシャーシなので、整流管やブロックコンデンサを立てるための穴が開いているのですが、そのどちらも使いたくなかったので、穴塞ぎにちょうど良かったから。0C2はMT7の小型管ですが、ちょうど手持ちのソケット変換用のサブシャーシがぴったりだったので、それを使っています。
今回のコンセプトの最大のポイントは「廃物利用」ですから、基本的にこのアンプを作成するために新しく部品を買うことは極力避けました。全て手持ちの部品で済ませたかったのですが、この0C2だけが唯一新規購入することになりました。ST管の0C3はあったのですが、ブロックコンの跡地に立てるには、ソケットのビス穴の位置がどうしてもぴったりこなかったのです。追加工をしても、きれいに仕上げるのは面倒そうだったので、やめにしました。
もう一つ、電源ではヒーターの点火部分に少し工夫があります。12G-B3と5GH8Aは、ヒーター電圧は違いますが、電流はともに0.6Aなので、直列にできます。その場合の電圧は単純に足し算すると12.6+4.7=17.3Vとなります。
電源トランスのヒーター巻き線を、あえて全部使っているのは、少しでも熱の発生を全体に平均化しようという考えがあったためです。巻き線の電圧を合計すると15Vにしかなりませんが、実際は定格電流の4割しか流れないため、電圧がそれぞれ高めに出ます。結果として、この配線でどちらの球も、定格±0から-5%の間に入り、球の長寿命化の点からもベストの設定になりました。
ちなみに当初の設計では5GH8Aではなく5AN8を使っていました(ヒーター定格は同じ球です)が、これだと全体のゲインが足りなくて(どう頑張っても8dBくらいにしかなりませんでした。15dBは欲しかったのですが…ちなみにちょうど今、ゲインは15dBになっています)。
残留ノイズはL:0.56mV、R:0.27mV。これも一時、なかなか下がらずに苦労しました。
実は、初段の5GH8Aは三極・五極の複合管ですが、最初の配置では五極部が出力管と向かい合わせになっていて、どうやら出力管からの輻射を拾っていたようなのです。この手の複合管は、あまりシールドが充実していないようです。
出力管との間にシールド板を立てると見苦しくなるし、球自体をシールドで覆うにしてもシールドが付けられるソケットに取り替えないといけません。
そこで、ソケットの取り付け方向を180度回して、出力管と五極部の間に三極部が入るようにして、ようやくこのノイズレベルにまで下げられました。ヒーターの配線が苦しくなり、入力部の配線に近づいてしまって心配しましたが、幸いハムはほとんど増えませんでした。
周波数特性はこんな感じです。出力2Wで低域が落ちているのは出力トランスの飽和でしょう。高域の落ち方や微妙なピークもトランスの実力通りという感じです。
歪率のグラフです。出力0.01W以下で歪が増えているのはノイズの影響と思われますが、アンプのノイズにしては多い感じです。発振器からの配線がプアなので、ここで外来ノイズを拾っているようです。しっかりしたシールド線を使って計り直してみたいところです。
2Wを超えると一気に歪が増え、5Wで頭打ちになります。出力管にもっと電流を流していたときは、7Wまで出ていましたが、これでも一般の居室では十分です。我が家のメインスピーカーは能率90dBありますし。
ダンピングファクタ(ON/OFF法)の周波数による変化もグラフ化してみました。もう少し高めの値を期待していましたが、ふーんこんなもんか、という感じです。
まだあまり試聴できていませんが、10EW7差動アンプと比べると、オーケストラなどは元気に鳴ります。DFがそれほど高くないのに、低域が弾むようなキレのいい感じで楽しく聴けます。
一方で、落ち着いた曲の表現はあまり得意ではないようです。このあたりは、差動アンプの端整ですっきりした音色に一歩譲る感じです。
今は繋いでいませんが、2A3シングルアンプの魅力的な音色もありません。今回使用したトランスは、当初は2A3シングルに使っていたものをそっくり再利用したもので、その当時の記憶と比べても音色の魅力は後退しています。その代わりに、シングルで5Wのアンプとしては意外なほどの元気な音がします。これは球や回路の違いなのでしょう。
さて、残材を使ってお手軽に超三結の音を鳴らしてみようという安直な発想で作り始めた(春に試聴会が予定されていたので、それに間に合わせるつもりでしたが、アンプ製作が遅れた一方で、試聴会も延期を重ねて、現時点で未開催なのです)ものの、調整に苦労したために案外愛着が湧いてしまいました。
とはいえ、個人的にはもう少ししっとりとした表現のできるアンプが望ましいので、前から構想だけは暖めている主力アンプを、いよいよ製作に入る頃合かも知れません(10EW7差動アンプも、少しすっきりしすぎていて若干物足りないのです。球が球だけに、定評のある球で作ってみないと、これで差動アンプの本領が発揮されているかどうかは疑問です)。
EL34で、並行入力付き全段差動のラフな回路スケッチもできているし、トランスもシャーシも、その他の小物部品もほぼ揃っており、後は手をつけるだけです。でも、最初のステップ(シャーシの加工と塗装)が面倒で、その一歩が踏み出せません。
秋に入ると学校関係のイベントがまた増えてくるので、夏の間に着手できるかどうかが分かれ目ですね。これを逃すと、冬に入るまで無理かも…。
※なお、今回の製作にはこちらのページを参考にさせていただきました。大変勉強になりました。この場を借りてお礼を申し上げます。
投稿者 clad : 19:34 | コメント (2) | トラックバック
2009年07月08日
【新しい試み】回路シミュレータを試用しています
もう一つ、最近始めたことに回路シミュレータがあります。
最近上梓された真空管アンプ設計の書籍の付録CD-ROMに収録されていたもので、本でも解説されていますので、今までやりたくても面倒くさくて始められなかった回路シミュレーションが、やっとできるようになりそうです。
…できるようになりそう、ということはつまりまだやっていないわけですね。今製作中のアンプの回路図を入力したばかりで、まだシミュレーションはやってないのです(実物のほうが先にできているというのはご愛嬌。本来は実際に製作するより先行してやるものですよね)。やり方を勉強中なのであります。
今回のアンプは、結構調整に手間取っていまして、当初予定していた球だとゲインが足りずに、初段の球を変更したりしています(これがMT9の複合管で、ピン配置が違うので配線し直すのがえらく面倒でした)。
最初にシミュレートしていたらこんな回り道はせずに済んだのではないかと、今からその効果に期待しています。
もっとも、シミュレーションはあくまでシミュレーション。回路の問題は見つけられても、実装の問題は見つかりません。
今回は実装の問題でも苦労しました。これはまたいずれ別に書きます。もう完成までの道筋は見えたので、後は時間さえ取れれば…。
投稿者 clad : 08:03 | コメント (0) | トラックバック
2009年05月05日
今日の製作進捗
シールド線の長さを測って切り、被覆を剥きました。
以上。
(^^;;
明日から大山(山陰ではありません。神奈川です)に出かけます。ほとんど一年半ぶりの泊りがけ家族旅行。それにしても近場ですが。。。
進捗も、またしばらくお預けか。
2009年04月26日
色物アンプでの試行錯誤
昨日は天候も不順なら、家族の体調も、疲労がたまってきているために揃って今ひとつで、家からあまり出ずに休養に当てました。
そのおかげか今日は全員復調し、天候も回復。約束していた長男の入学祝の新しい自転車を買ったり、久しぶりに農協マインズに寄って新筍をゲットしたり、妻のカードのたまったポイントを交換して貰った折りたたみ式自転車の初乗りをしたり、割とアクティブに過ごしました。
ベランダのプランターの土も交換して、ゴーヤの種(これも農協で買った)も蒔きましたが、これはまた別に書きます。
アンプ製作も順調に進みました。もともとシンプルな回路で部品点数も少ないため、土日であらかたできてしまいました。
唯一の課題は、スクリーングリッドの電圧供給方法です。
実は、ここははっきり回路を決めずに、見切り発車で製作に入ってしまいました(いい加減!)。
出力管と初段管はともに五極管で、SGをなるべく安定化して供給する必要があります。どちらも設計値は150Vとしましたが、これは300V以上あるB電源から下げて作るしかないのです。
当初はボーっと「C電源用の70Vの巻線があるから、これから倍電圧整流すればいいんじゃないか。大した電流も流れないし、効率的かも」などと思案していました。
よくよく考えたら、この巻線はB電源用の両波整流の巻線の一部です。両波整流で正しい電圧を取り出すには、センタータップはグランドに落とす必要がありますが、倍電圧整流をするときはグランドではなくて、グランドと整流電圧の中間値になります。
つまり、同じ巻線でこれらを両立させることはできなかったわけです。
それと、使い古しのシャーシを活用したため、整流管用の穴が開いています。整流管は使用しないので、この穴は定電圧放電管で埋めるつもりでした。定電圧放電管は、現在のツェナーダイオードのようなものですが、普通の真空管とは違った紫がかった色できれいに光ります。ですので、今回のような色物企画(!)ではぜひ使いたかったのです。
最初はSGの150Vにあわせて、グランドとの間に0D3(=VR-150:150Vで定電圧化する)を入れようとしましたが、それだと350Vから200Vも降下させるのに、20mA以上も流すので、巨大な抵抗を電熱器のように使うことになり、いくら色物企画とはいってもさすがに格好が悪いわけですね。別に外から見えるわけではないですけれど、自分自身が納得いかないのです。
トランジスタで定電圧回路を組み、基準電圧を定電圧放電管で、という案も考えましたが、これは大袈裟過ぎて気に入りません。増幅回路がシンプルなので、こんなところに手の込んだ仕組みを入れたら、バランスを欠いて美しくありません。
そこで、350Vと150Vの間に0D3を入れ、シリーズに抵抗を入れるということにしました。これなら0D3に流す電流も15mAほどと適度ですし、無駄な電熱器も最小限で済みます。本当は0D3より高い電圧でレギュレートする球ならもっといいですが、生憎手持ちがこれしかないので、これでいくことにしました。
この妙案を思いついた(実は、古のアルテックのアンプの回路図を眺めていたら、そのまんま載っていたので、パクらせていただいただけですが)ところで、今日の製作はおしまい。これからGWですので、今焦ることもないでしょう。
ようやく定着しつつある早寝早起きのペースを乱さないように、早めの店じまいといたします。
2009年04月20日
アンプ製作、再起動
家庭の事情により、ずっとストップしていた球アンプ製作に、久々に手をつけました。はんだゴテを温めたのが前回いつだったかも、過去ログを読み返してみないと思い出せないくらいです。
一度離れてしまうと、再開するのって結構面倒で、頭の中で構想(妄想(^^;)だけは何台分も溜まっていたのですが、いざ作業机に向かっても、なんとなくパソコンでネットをダラダラ見てしまうのでした。まとまった自由に使える時間が取れなかったのと、花粉症の薬のせいで夜11時頃には眠くて何もできなくなる毎日なのが主な原因です。今回は、来月に知り合いの間でアンプの試聴会を開くことになり、それに合わせて新作を作ろうと、重い腰を上げられたというわけです。
土曜日は長女と長男の保護者会が重なり、しかも子供たち自身もそれぞれ登校と、家族4人が別々の用事で外出した初めての日という、我が家的には記念すべき?日でした。
日曜日はさすがに休養日。午前中にスーパー銭湯に出かけ(なんと1年ぶり。如何に昨年度をストイックに過ごしてきたか…ちなみに泊りがけのレジャーは昨年1月が最後)、午後に買い物を少しして帰宅してから、それぞれの時間を持ったのでした。
(以下は、球アンプに興味のある方以外は、スルーされたほうがいいかもしれません)。
しばらく実際の製作はご無沙汰で、脳内製作(^^;ばかりだったとはいえ、部品などはチョコチョコと買い集めていました。モノラル×2台構成の、今後の主力となるアンプを製作したかったからです。
真空管アンプの黄金時代のアメリカで作られた、ダイナコの出力トランスをオークションで手に入れ、EL34のプッシュプルアンプを想定していました。シャーシまで含めて、ほぼ部材はそろっているのですが、やはりシャーシ加工から始めるとすると、規模が大きい分なかなか面倒です。手を付けるのをためらっているうちに、試聴会に間に合わないことが確定的になりました。
そこで、急遽方針を変更し、以前脳内製作していた、廃品利用アンプを作ることにしました。
以前2A3シングルアンプに使っていたアルミの弁当箱シャーシを活用し、トランスの構成もそのままで、回路を真空管TVの水平出力管による超三極管接続のアンプに仕立て直そうというものです。
超三結は前作のドライブ段にVer.4を使ってみましたが、今回のは出力段で、Ver.1のシングルアンプ(発案者の方のサイトはこちら)になります。Web上に作例が溢れているのですが、球の組み合わせのほか、ちょっとだけオリジナルな部分を付加してみようと思います。まだちゃんと動くかどうか検証も出来ていないので、回路図は公開できませんが(“廃品利用だから”を口実に、今回もバラックでの事前確認なんてやらずに、ぶっつけでシャーシに組み込んで作っています)。
昨日は手始めにAC100Vのインレットからスイッチ、ヒューズボックス、電源トランスの1次側と、ヒーター配線の一部までで終わりました。初日なのでこんなものでしょう。部品点数が少ないので、すぐに出来てしまうと思いますが、調整にどのくらいてこずるかは、初めての超三結Ver.1なので予想が出来ません。
さて、どうなりますことやら。
2008年12月21日
プリアンプの導入
ネットオークションで買ったのは9月なのですが、忙しくてセッティングも儘ならず、ようやく一通りの使いこなしができるようになりました。HDMIもついていない型落ち品なのですが、それでも十分多機能で、全貌を把握するのに一苦労でした。
ONKYOのIntegra DTC-7というAVプリです。Vの機能は、本当は要らないのですが、サラウンド機能付のアンプというと、安物のAVプリメインを除くと、とたんに高価になってしまって、おいそれとは手が出ないのです。
パワーアンプは自作するから不要なので(^o^)v、プリアンプだけでよくて、しかもマルチチャンネル、しかも価格的にもリーズナブルとなると、中古以外にはありえないのですよね。
これで何がしたかったかというと、SACDのマルチチャンネル再生と、DVDのサラウンド再生を切り替えたかったわけです。映画もそうですが、主にDVDの音楽ソースを楽しむ際に、貧弱なテレビのスピーカーでしか音が出せなかったのが不満でしたので。
いまどきのDVD機器にはアナログのサラウンド出力なんてありませんので、DolbyだのDTSだのといったサラウンド規格のデコード機能も必要だったわけですが、そのあたりでの不満はありません。
オーディオ機器としても、SACDのアナログ信号を、余計な回路をパススルーして出力する機能もあり、まずまずといったところ。
実は音量をリモコンでコントロールできるようになっただけも、我が家的には大進歩です(^^;。
2008年09月28日
10EW7差動アンプを改造する:その3.6
結局、出力トランスを交換することになりました。
タンゴのCRD-8をネットオークションで手に入れたのです。
見た目、明らかに端子の台座の高さが違うし、生産ロットが異なるみたいなのですが、特性は見事に左右一致しておりました。
周波数特性は、見事なまでに左右で一致しています。40kHzまで-1dBですから、帯域もまずまずでしょう。
歪率も十分に良いデータです。
このトランスなら特性的には現状(出力段は無帰還)のままで良さそうです。特に音が荒れているわけでもないので、当面はこのままで使うことにします。
というわけで、一応完成です。
回路も、特に修正はないのですが、再掲します。
回路の中で、20k/1Wのボリュームがあります。これは初段のACバランスを取るために挿入したのですが、思ったほど効きませんでした。全く効かないわけではないですが、上下のユニットの特性が大きく異なる場合、調整しきれない可能性があります。
その場合、最大出力付近での波形のクリップが、上か下かどちらかが先にクリップしてきます。すなわち、最大出力の低下や歪率の悪化に繋がる可能性があります。
そういったときには6J11の2つのユニットのバラツキが少ない球を選別する必要があるかもしれません。幸い今回は、深刻なバラツキには苦しめられませんでしたが。
2008年09月07日
10EW7差動アンプを改造する:その3.5.1(聴いてみて)
さてさて、周波数特性ではかなり困ったことになっていた「LEAF LED Manufacturing」のOPTですが、ここ数日音を聴いております。
これが、案外悪くないんですね。
高域が落ちているという印象もないし、低域の力強さもそこそこある。定位の良さや解像度の高さはそのまま、音の品位も落ちたという感じはありません。
2A3シングルアンプは、音の艶っぽい魅力では優れているものの、これと比べるといささか締りがなく、茫洋とした感じが否めません。
この差動アンプも、低域の締り感はそれほどでもないのですが、NFBをかけてDFをあげてやればもう少し違ってくるでしょう(ただしそれには、裸ゲインの低さと、OPTの高域特性がネックになります…)。
前回はトランスの特性でガッカリしたものの、考えてみればCDを中心に聴くなら20KHz以上の音域は再生されません。特性は他人に見せられない代物ですが、音はそうそう引け目を感じるようなものではなかったわけです。
ただ、換装前のトランスで測定した結果から推察するに、このアンプの回路としての素性は、もっと広帯域なはずなので、潜在力を活かしきれていないことも確かです。
やっぱり、また別のトランスに変えるのかなぁ。
電源トランスが黒なので、ノグチトランスならPMF-25Pですが、これを見てしまうと、新たに買ってまで手を出すのは二の足を踏みます。
ソフトンのRX-40-5というのもありますが、一次のインピーダンスが変わるので動作点の見直しが避けられない上、定格40Wもの品をこのアンプに使うのは役不足というか、もったいない気がします。それに、DCのアンバランスには敏感らしく、バラつきの多いTV球の使用でDCバランスも崩れがちなこのアンプに使うには、DCバランスサーボ回路が必須となってしまいそうです。サーボ回路はいずれ作りこむつもりとはいえ、最初から必須といわれると、ちと辛い。
そうなると、詳細な特性は不明ながら、やはり手持ちのサンスイの古いH15-8をつけるのが妥当な気がしてきます。ただし、この場合はシャーシにそのままでは装着できないので、多少不細工になるのを覚悟でアダプターを自作する必要があります。
往年のサンスイなら悪かろうはずもないので、方針はほぼ決まりました。
さて、折角なので記録として、まだオーディオ専科のトランスをシャーシ内に内蔵しているときの内部写真と、現時点の外観写真をアップしておくことにしましょう。
トランスを内蔵した結果、かなり中が狭苦しくなっているのがお分かりと思います。
ちなみにヒーターの配線は、アース母線に添わせる形で、最後に引き回しています。
現在の外観は、トランスのデザインも大きさもそろっていて結構いいバランスなんで、その面だけでも捨てがたいんですが…。
投稿者 clad : 22:51 | コメント (0) | トラックバック
2008年09月01日
10EW7差動アンプを改造する:その3.5
前回のエントリーで書いた“「LEAF LED Manufacturing」さんという会社の15Wのトランス”に換装して、とりあえず周波数特性を見てみたのですが、吃驚、というかガッカリでした。
高域が10Kを超えると落ちてくるんですけど。これって余裕で可聴帯域ではないですか。
それにこの暴れ方は何でしょうか。左右で暴れの大きさが違って見えますが、これは測定ポイントとピークの位置が微妙にずれている結果こういうグラフになっているだけで、その差はほとんどありません。間違いなく、トランスの特性がそのまま出ています。
これを測定しながら気づいたことがあります。
出力管のDCバランスをモニターしながら測定したのですが、高域でディップやピークが見られるあたりでは、いきなりDCバランスが大きく乱れるのです。最初は発振しているのかと思ったほどでした。
周波数によって、トランスのインピーダンスが大きく変化するのでしょうか。巻き方が未熟なのかな?
それとも、やはり発振しているのかも。もう少し詳しく見る必要がありそうです。
とはいえ、このトランスでは2次側からの帰還もかけられそうになく、特性の向上は難しそうです。
【音さえよければすべて良し】とも言えますが、あまり期待できないような…そもそもHiFi用のトランスじゃなかったのかな?
山水の古いトランスもあるのですが、これはシャーシにそのままでは載せられず、何かアダプターのようなものを工夫する必要があります。個人的に、そこまでの時間的な余裕は当分取れそうにないので、このまま放置するか、元のオーディオ専科のトランスに戻すか、といったところです。
2008年08月30日
10EW7差動アンプを改造する:その3.4
左右の周波数特性が異なるのは実装(配線引き回しなど)のせいではないか? との指摘を某掲示板で受けたので、暇を見つけてはチョコチョコといじってみたけれども変化なし。結局、左右のトランスを入れ替えたら、特性もそのままで入れ替わりました。やはりトランスの特性が出ていましたか…。
同時にクロストークの左右の違いも調べたのですが、こちらは泥沼でした。前回のデータは出力2Wで測定したものでしたが、出力を5Wに上げると、前回はノイズに埋もれていたL→Rの漏れも高域では発生していることがわかり…
さらに調べると、ボリュームの位置でクロストークの量が大きく変わることがわかり(前回はボリューム全開の位置、それより少しだけ絞ると漏れが最大となる)…
結局初段の入力より前のところで、左右チャンネル間の飛びつきが起きているわけで、普通にシールド線を使って配線している以上、これを大きく改善するには…
1)2連ボリュームをやめて、左右独立にする
2)ボリュームを廃止して、別にプリアンプを作る
3)左右を別のアンプ(モノラル構成×2台)に作り直す
…うーん、もう少し初段の入力部を見直して、少しでも改善できるか検討することにしましょう…。
上記の調査の合間に、出力段の手前のカップリングコンデンサを変更しました。これまで付けていたのは250V耐圧の0.33μのフィルムコンで、ジャンク屋でタダ同然で買ったものですが、メーカーは不明だし、スペックの割りに小さく、いくら「廉く上げる」コンセプトに沿っているとはいっても、あまりにいかがわしかったので、以前から気になっていた箇所でした。
これをシズキの0.22μのオイルコンに換えたところ、音にだいぶ潤いが出てきました。以前はどうにもさっぱりしすぎというか、室内楽などを聴いていると2A3シングルの魅力的な音と差がありすぎ、折角苦労した作品なのにガッカリ感が漂っていましたが、今はかなり良くなってきました。
ちなみにこのオイルコンも、町田のサトー電気で、同種のものとしては非常に安かった(@\105!)物なので、コンセプトの大筋は、まだ外れていません(笑)。
あとはトランスを換装して、もう少し力強い音を出させたいところです。
先日入手した「LEAF LED Manufacturing」さんという会社の15Wのトランスがあり、これがちょうど手持ちのノグチトランスのPMF-10WSと外形がほぼ同じでしたので、ケースを入れ替えてシルバーハンマートーンからブラックにし、取り付けビス穴の位置もシャーシにぴったりになりました。電源トランスがブラックなので、それに合わせたのです。
出力トランスがシャーシの上に載ると、見た目も重厚感が出てくるし、容量が大きくなった分だけ音にも余裕が出るだろうと期待しています。
ちなみにこれ、公称出力15W(ピーク20W)だそうですが、PMF-10WSと同じサイズのプッシュプル用トランスはPMF-25Pで、「最大出力25W(40Hz)」となっています。それと比べると確かにコアは微妙に小さい(厚みが数ミリ薄い)とはいえ、40Hzなら20Wは出そうな感じです。15Wって、30Hzでの値なのかな?
投稿者 clad : 23:30 | コメント (0) | トラックバック
2008年08月24日
10EW7差動アンプを改造する:その3.3(一旦まとめ)
最初は全段差動アンプの習作のつもりで取り組み始め、やがて出力段よりも手前に凝り始めて、2年ほど苦闘した末(もちろんその間は他の製作にも手を出していましたが)、ようやく一応の完成を見たようです。
写真からは全然大した音がしそうにないのに、予想をかなり裏切れる出来栄え(自画自賛)なのも、ちょっとうれしいですね。
出力トランスを大型にして、シャーシの上に積めばもう少し見栄えは良くなりますが、基本「コストをかけない」のも狙いに入っていましたから、どうするかはまだゆっくり考えればいいとのんびり構えています。山水の古いトランスの買い置きがあるので、それでも載せてやるかなぁ。
ステレオチャンネル間クロストークですが、下のグラフのような感じで、これもかなりいいデータと思います。R→Lの高域を除いて。
といいますか、この部分を除いて、-90dBなんてほとんど我が家の測定能力の限界です。クロストークなのか、単なる残留ノイズの値なのかも判別できません。
R→Lの高域の劣化は、たぶん実装技術の問題でしょうが、シャーシの中身は現状かなり込み入っていて、ちょっと原因の特定と対策は難しいかもしれません。
一昨晩から室内楽を中心に音を聴いていますが、2A3シングルのような音の深みや艶はないものの、解像感が高く、音の定位も良く、見通しがいいという感じです。
フルオーケストラや合唱モノを聴いてみると、低域も曖昧さがないのですがやや軽い。出力トランスが軽量級なのがあらわれているのでしょう。
次第に愛着も強まってきて、トランスの換装もやりたくなってきました。
投稿者 clad : 15:37 | コメント (2) | トラックバック
2008年08月21日
10EW7差動アンプを改造する:その3.2
一応回路図を描いてみました。PDFだと重いし、最近はPDFにウイルスを潜ませる輩もいるとかで、迷惑がられる場合もあるようなので、PNGの画像にしています。
図中にはNFBの抵抗も入れてありますが、実際には存在しません。まだ帰還かけてないんです。
レンジも歪率も十分取れているので、ダンピングファクタ(約3)を向上させるために、例えば3.5dBもかければDF=5になりますが、それくらいかけるかどうか。
しばらくこのままで音を聴いてみて、それから考えてみようかと思います。
投稿者 clad : 22:50 | コメント (2) | トラックバック
2008年08月20日
10EW7差動アンプを改造する:その3.1
先日の状態で、やや利得が不足気味であったのと、実は超高域で発振していたことがわかり、若干手を入れました。
18MHzで発振していたのはTrリップルフィルタのところで、Trの足に最初はフィルムコンデンサを付けてみたのですが一向に止まず、22uFの電解コンを直付けすることでようやく止まりました。
セパレーションを良くしようと、左右独立のリップルフィルタを設けたのですが、そこがやや厳しかったのかな? いずれにしても完全に止まったので良しとしましょう。
初段の五極管6J11の負荷を75kohmから100kにしたところ、プレート電圧は下がったのですが、利得は若干上がりました。左右とも7.5倍に揃っています。
オーバーオールも局部帰還も、とにかくNFBは全くかけていない状態で、ここまで低いデータが出るとは……超三結V.4、恐るべしといったところでしょうか。
右chはもう少し値が悪くて、最低値が0.1%前後なのですが、これは球のばらつきが要因の大部分でしょう。
ちなみに残留ノイズは0.15~0.2mV。ダンピングファクタが約3です(内部抵抗の低い出力管なので、割といい値)。オーバーオールNFBをかけてもいいことはいいのですが、このままでも十分という気もします。計算では、3dBちょっとのNFB量で、DF値が5くらいにアップするはずです。
今日は遅くなったので、続きはまた後日。
投稿者 clad : 23:50 | コメント (0) | トラックバック
2008年08月15日
お久しぶり! 10EW7差動アンプの改造
前回のエントリーがいつだったか思い出せないほど、久しぶりになりますが、ようやく10EW7差動アンプの改造が、ほぼ終了してそれなりの結果が出ました。
改造の内容はというと、初段6J11と10EW7(t)を用いて超三極管接続Ver.4を構成しようというもの。前回の改造時には設計がまずくて失敗し、10EW7(t)をカソードフォロワに変更して誤魔化したのですが、やはり悔しくて再度トライしたのでした。
回路図はまだできていないので後日掲載しますが、オールオーバーのNFBなしで(超三結がそれ自体強烈な局部帰還を五極管にかけているので)、周波数特性と歪率を測ってみました。
出力トランスによると思われる高域のピークが、左右でかなり違いますが、こんなものなのでしょうか。
少なくとも出力段は無帰還なので、歪率は0.1%を下回れなかったのですが、思ったほど悪くありませんでした。
それよりもF特が非常に良いので吃驚。何の補償もしていないのですが、100kHzで-3dBですから。
これでわずかでもNFBをかけてやれば歪率も下げられるのでしょうが、実はこの状態で利得が6~7倍しかないのですね。初段でもっと利得が稼げるかと思っていたんですが、少々見込み違いが発生しました。
出力は計算では5.8W、実物は5Wあたりからクリップし始めます。残留ノイズとダンピングファクタはまだ測っていません。
さて、どうしたものか。
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2008年07月26日
ちょっと工作
最近、なかなかアンプをいじる時間がないのですが、合い間合い間をみて、こんなものを作っていました。
いまのメインスピーカーが4Ωという低いインピーダンスのため、そのまま真空管アンプにつなぐのはちとつらい場合が多いのです。そこで、インピーダンス変換のためのトランスボックスを作りました。
写真では良く見えませんが、4,6,8,16Ωを相互に変換できます。
まだ繋いでいないんですが、これで、やはり音は変わるんでしょうね。良いほうに変わるといいけれど。
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2008年04月08日
【自作アンプ】10EW7差動PPアンプについてまじめに考えてみる
自分専用スペース用のミニアンプ改修に一応の目処をつけたところで、放置していた10EW7の差動PPアンプについて、初心に帰って考え直してみた。
10EW7という球は、いわゆる“駄球”である。正体はテレビ用の複合管で、大小二つの三極管が封入されている。ピンはMT9と同じだが、ガラスの外径は30ミリ近くあり、太くずんぐりとしている。
大きいほうのユニットはプレート損失が最大10W、直線性は五極管の三結みたいであまり良くないが、差動で使うなら大して問題にはならない。
小さいほうはμが20弱で、特性的には12AU7に似ているが、プレート損失は1.5Wどまりというものだ。アンプに仕上げるには、この2つ以外に、もう1段の増幅が必要になる。
10EW7差動PPの1号機は、Zp=8kΩの東栄のOPTを使用し、前段は6J11という双五極管(これも駄球!)を使って増幅率を稼いでいた。五極管をそのまま使うと内部抵抗が高くて高域特性が悪くなるので、10EW7の小さいほうのユニット10EW7(t)を使って、SRPP風(いわゆるμフォロワ)として用いていた。
これはこれで、意外とよくまとまったアンプだったように思える。
そうはいっても、10EW7も6J11もバラツキが大きく、PPバランスをとるのも結構苦労した。出力段はボリュームでいくら慎重に合わせても、時間とともにあっちに振れたりこっちに振れたりする。
初段も初段で、μフォロワの10EW7(t)のカソード抵抗値を750~1.2kΩの幅で調整しないとバランスが取れなかった。
もちろん球を交換すれば調整はし直しだし、6箇所ものボリュームを調整するのが鬱陶しくて、大幅な改造に踏み切った。
出力段のユニット10EW7(T)でバランスが取れることを重要視すれば、小さいほうの10EW7(t)がばらつくのは目をつぶることになる。そこで、小さいほうはカソードフォロワに使うことを考えた。μフォロワの上の球として使ってもカソードフォロワには違いないはずだが、6J11とプレート電流が共通化されるので、バランスをとるのが厄介なことになる。
単純にそれだけの改造にとどめればよかったのに、余計な色気を出したのが失敗の元だった。
10EW7(T)の動作点を変更し、出力トランスもハモンドの物と取り替え、より高いプレート電圧と負荷インピーダンスを与えて高出力化を狙った。初段はただの五極管とカソードフォロワの組み合わせにせず、超三極管接続Ver4という、まだ採用例もほとんどない、特殊な形式に挑戦した。これが大失敗で、動作原理の研究不足のため、まともな音が出せず、結局普通の五極管+カソードフォロワに変更した。
これで一応まともな音が出るようにはなったが、ちょうどその頃そろえた測定器で最大出力を測ると、2Wそこそこしか出ないことがわかった。設計上は8Wを狙っていたのに、である。
改造に改造を重ねたため、中身もごちゃごちゃと何が何だかわからなくなっており、いじりにいじってこのアンプに飽きてきたこともあって、結局ここで放り出してしまった。そのままで現在に至っている。
やりかけたことを放り出したままにするのは、やはり忸怩たる思いがある。
大体、10EW7は素質のある球だと思う。大きいユニットは内部抵抗が低いし、小さいほうは直線性がよさそうだ。
ところがテレビ球らしくバラツキが大きくて、沢山買って選別して使うしかないし、大小ユニットの両方でバランスを取るのは絶望的だ。
困ったことに、そういう使いにくいところが、なんとか上手く使いこなしてみたいという挑戦意欲を掻き立てるのだ。
さて、どうするか。
案1)正攻法の三段増幅への改造
当たり前の解決策のようだが、これはこれで難問である。シャーシ(全段差動標準シャーシ。スチール製で追加工が大変)の関係で使える電源トランスに制限があり、あまり高い電圧が取り出せない(電流を犠牲にすれば選択肢はあるにはあるが、そうなると出力が小さくなる)。結果的に球だけでの三段増幅は、正直厳しい。FETを使う手もあるが、そうなると球2つ分の穴がぽっかりとシャーシに残ってしまい、何かで埋めないと体裁が悪い。ケミコンを立てるのはあまり趣味じゃないし、無意味な球を適当に光らせるのもできなくはないが、合理性を欠くのでポリシーに反する。
案2)現行回路の再検討
6J11のSG電圧まわりに詰めの甘さがあるのはわかっているので、もう少し追求してみる。やってできなくはないだろうし、10EW7の(t)と(T)を直結に変更すれば、A2級動作で出力アップも狙えるかもしれない。でも、A2級の差動回路ってありなんだろうか?
案3)超三結Ver.4の再挑戦
いつかはやってみたい気もするが、しばらくは無理でしょう。せめてシングルで試してからだと思う。
というわけで、妥当に案2かなぁ。
投稿者 clad : 09:08 | コメント (0) | トラックバック
2008年03月13日
8B8LW小型アンプ改造記・測定など
なかなかまとまった時間がとれず、体調も優れず、花粉症にも文字通り泣かされ、家庭の事情もあり、せっかく作った(改造した)アンプの特性が測れなかった。
ようやく時間が取れて、測定してみると、妙に歪率が高い。
よく考えてみると、今回は出力管の動作点を変え、出力トランスの1次インピーダンスを5kΩから7kΩに変えたつもりだったのに、その部分の配線しなおしを忘れていたのだった。
実は改造前より微妙に悪くなっている気もするが、まあ誤差範囲(^^;。むしろ、今まではどんなにがんばっても出力2W出なかったのが、今回出るようになったのがちょっとうれしい。
こちらも、高域は改造前より早めに落ち始めている(-_-;。ただ、0.5Wでも0.1Wと変わらないし、60kHzで-3dB以内だから、こんな超古典的シングル増幅回路では立派なものかもしれない(本当のところは、どうだろう?)。
ちなみに、ダンピングファクタは4.5。改造前は5.5だった(NFBはともに6dB)。
残留雑音は0.15mVだが、これは測定状態で大きく変化するので参考値。十分に低いのは確かだと思う。
回路図(PDF) も修正した。
本来はシンプルさが身上のロフティン=ホワイト回路に、定電圧やら定電流やらの半導体を使った回路がゴテゴテとついているような感じもする。
定電圧回路は、球がヒートアップするまでの間に過大な電圧がかかるのを防ぐのが目的で、傍熱型の整流管を使えば事足りる(タイマー回路をつけたのでは、ゴテゴテするのは同じだろう)。定電流回路は、LM317などのレギュレータICを使えばずっとシンプルにできる(少なくとも、見た目は)。
ただ個人的な趣味の問題で、球を主役に、石を脇役に使うのが好きで、しかもできればディスクリートで組みたいほうなので、こんな回路に相成ったというわけだ。
やっと人様に見せてもいいくらいの、それなりに自信の持てるアンプができたように思う。「8B8なんて球、聞いたことがない」と思われるかもしれないが、正体はあの6BM8のヒーター電圧違い。6BM8ファミリーの中では価格が安いのが取り柄だ。もちろんより入手性の良い6BM8が挿せるように変更するのは造作もない。切り替えスイッチをつけようかと思っているくらいだ。
さて、ご感想はいかがでしょうか。音はブログではお聞かせ出来ませんが、小音量ならなかなかの鳴りっぷりです。小型なので、近場なら持参いたしますよ。
2008年02月23日
8B8LW小型アンプ改造記
(注意:この項目は、読者がある程度真空管アンプに関する知識を有しているという前提で書いています。ブログ開設当初はそうでない方に向け、わかりやすく書こうと心がけていましたが、文章がどうしても冗長になり、だんだん疲れてきたのでその辺は楽をすることにします)
自分専用の工作スペース(現状)で、ニアフィールド環境で(つまり小パワーで)聴くことを目的とした8B8ロフティン=ホワイト(LWと略記する)アンプは、音質的にはそれなりに満足のいく出来だったが、回路としては欠陥を抱えていた。8B8は6BM8のヒーター電圧違いで、TV向けの傍熱管であり、電源ON直後11秒してから動作する。この【11秒】というのは規格に謳われており、管理された値なので、直結回路としてしばしば問題になる、球が動作状態になるまでの期間の部分的な過電圧や過電流といった問題は回避できていると思い込んでいたのだが、そこに見逃しがあったのだ。
B電源につないだ一部のコンデンサに、この11秒間に定格を超えた電圧がかかっていたのである。オーディオ用のMUSE-KZというグレードで最も高い100V耐圧の物を、ブリーダー抵抗付きの2階建てで180Vのところに入れていたわけだが、これでは定常動作状態でもディレーティングが不足気味なので、もともとの設計が悪かったとしか言いようがない。電圧を低くするということもできることはできるが、本来の球の動作点からはもちろん外れるし、実はもともと電圧としては低めで、もっと上げたいくらいだった。
他にも(1)リレーによるディレイ回路をB電源につける、(2)傍熱の整流管を使用してディレイさせる、(3)定電圧回路をつけて過電圧を防ぐ、などの対策が考えられるが、どうせ改造するなら球の動作点も最適化したい。そうすると電圧は上がる方向になり、定常状態でも確実に現在のコンデンサの定格を越えるので、結局はコンデンサを替えて対応するのがベストなのである。
初段も出力段も、プレート電圧とグリッドのバイアスがともに低めだったのだ。実は初段のバイアスが1.0Vしかなく、ここはせめて 1.2~1.5Vは欲しい。直結回路なのでわずかな電圧の変化も全て積み上がって大きくなっていき、結局は電源トランスのタップを250Vから280Vに変更することになった。
すると今度は、電源ON直後の11秒間に加わる電圧が、さらに高くなってしまう。さらにいくつか耐圧を超える部品が出てくるので、単なるリップルフィルタを定電圧回路に作り変え、一時的にでも高い電圧が出力されないようにした。もともとTrを使ったフィルタだったので、もう一つのTrやツェナーDiを追加し、ちょっとした改造をするだけで定電圧回路になるのだ。上記の(3)の対策を実施したわけだ。
(1)の対策は、リレーまで導入すると大掛かりになり、現状の狭苦しいシャーシに収めるのが困難になる。(2)では、当然ながら整流管を立てるためのシャーシの追加工が必要になり、面倒な上にデザインも崩れてしまう。整流管は消耗が激しく、できれば使いたくないので、割とすんなり(3)に絞られた。
出力段の動作電圧を変更した結果、カソードの抵抗がさらに増えることになった。もともと2KΩ5Wと1.5KΩ5Wのセメント抵抗を直列にしていたが、さらに2KΩ5Wを追加して合計5.5KΩにする必要がある。さすがにセメント抵抗3つ直列というのは格好悪い。セメント抵抗は2KΩぐらいが上限で、あまり高い抵抗値がないので、これしかやりようがない。ホーロー抵抗ではもう少し高い抵抗値もあるが、5.5Kなんて半端な値はないので所詮は2個以上の組み合わせになる。酸化金属抵抗でもいいが、5Wが最大になるので、消費電力を分散させるように3個以上使わざるを得ないのだ。結局、単なる電熱器がゴロゴロすることに変わりはなく、どう考えても格好は悪いままだ。
どうせなら、ここは定電流回路にしたほうがスマートだ。定電流回路は信号が流れないが、もともとカソードとB電源をコンデンサで直結にしていたので、影響はない。むしろ、カソードからGNDに漏れる信号が完全になくなるので好都合である。シングルアンプでのカソードへの定電流回路挿入は、以前にぺるけさんの掲示板で話題になるなど、やってみたかった手法でもあり、トライすることにした。
さて、回路図は これ(PDF) である。
初段は無難な設計だ。実はここも、カソードと+Bをコンデンサで最短化しようとしたが、超低域発振のような不安定な状態になってうまくいかなかった。カソードに負帰還を戻しているのがいけないのかもしれないが、よくわからない。
とにかく、短時間でも部品の定格を超えるような条件で使っているところはなくなり、安心して使える状態になった。しばらく連続通電してみても、特に異常はない。
測定結果などは、また別途。
2008年01月05日
球アンプとワインの新年会
新築なった会社の大先輩宅(埼玉県上尾市)にお呼ばれし、泊まりがけの真空管アンプ試聴会兼ワイン試飲会に参加した。
結局、「小型軽量のわりにちゃんとした音」が売りの8B8ロフティン・ホワイト・アンプを、帰還抵抗にパラった発振止めコンデンサが、ちょうどいい値がなくて暫定的にスチコンにしたままだったのを思い出して、シルバードマイカに付け換えただけで持ち込むのがせいぜいだった(写真中央右)。
その土壇場での改造のおかげでもなかろうが、柄が小さい割には健闘してくれて、写真にも並んでいる801(写真中央左)や2A3(同中央奥)のシングルにもさほど引けは取らなかった(右端の6L6の差動アンプには、さすがに低域の力強さで差がついたが)。
予想はしていたがそれ以上に38cmのウーファーは簡単には鳴らず、どれで鳴らしても低域は力感不足でボワボワ、そのくせ音量を上げるとすぐ歪む。中高域は目立たず、引き分けというか全員敗退気味。10W以上のパワーはないとダメなんだろう。
そんなわけで比較試聴もそこそこに、ワインを痛飲するほうに流れた。5人で4本までは空かなかったのだが、実は1本はマグナムボトルだったので、実質的には4本以上飲んでいる。最初はチーズなどを肴にしていたが、途中から鍋に移行。水を飲むのも苦しいくらいに腹膨れ、床暖房が心地よくて次第に姿勢が低くなり、日付が変わったら早々にお開きとなった。
といってもそのまま帰る気は毛頭なく、寝袋に包まってそのまま余熱の残る床の上に転がったわけだ。
翌朝は朝食をいただき、今度こそ散会。自宅までは50kmほどあるが、往復とも渋滞には遭わず、100分ほどで着いた。
かくして正月休み最後のイベントは、リベンジのネタを残して終了したのである。
2007年08月11日
最近のお買い物・その3
午前中に、宅配便で大きな荷物が2つセットで届いた。中身はこれ↓である。
http://www.phileweb.com/ec/index.php?p=4544
予期せぬ臨時収入があったため、ほとんど衝動買いに近い買い方をしてしまった。とはいえまったく後悔はしていない。
これまで使っていたこちらと比べると一回りスリムになり、ウーファーの口径も小さくなっているのだが、低音はむしろ新しいほうが力がある。
美音系なのもわかっていたが、何より、音を出した瞬間から高品位なのが明らかだった。
新旧を並べて聴き比べたところ、むしろ今までのスピーカーの問題点が明らかになった。やはり美音系であるのは同じだが、全体に亡羊として鈍い感じなのと、高音の特定の音域で音が濁りがちだ。バロックヴァイオリンやトランペットがキツイ感じだったのは、スピーカーの問題も大きかったようだ。これだけ聴いている限りは感じなかったのに、比べるとどうしても粗が目立ってしまう。
新しいほうはすでにセッティングも追い込み済みで、半日ほど朗々と鳴り続けている。CDの音がまるでSACDかと思うほど自然な鳴り方をする。これはSACD不要か、と思ってSACDをかけるとこれがまた、言葉を失うほどすばらしい。
もっといいものと並べて比べれば、それなりに不満点も上げられるのだろうが、現状はどこにも不満がない。音以外にも、幅がスリムになって居間に置いたときの威圧感がぐっと減ったし、見た目も仕上げの高級感があって好ましい。
年式も新しく、中古だが痛みが少ない良品を、定価の半額以下で買えたのはラッキーだった。ネットオークションだが、落札履歴を見ると同型品の歴代最低落札額のようだ。もっとも半年に1度くらいしか出品もないのだが。
気になる点といえば唯一、インピーダンスが真空管アンプには少々手ごわい4オームという値だ。それだけに挑戦意欲を掻き立てられつつあるのだが。
それともう一つ、今までのスピーカーをどう処分するかが課題である。オークションに出品すると値段はつくだろうが(そもそも1年ほど前に¥2万前後で落札した物だし)、落札者宛に30kgの物を2つも発送しなくてはならない。集荷してもらうとしても、梱包するだけでも一仕事だ。
20年近く前のモデルなので、中古ショップに持ち込んでも二束三文だろう。重い物を運ぶだけ馬鹿をみるのは間違いない。
さて、どうしたものか。。。
2007年07月29日
再測定…8B8ロフティン・ホワイト
前回の測定の際に、ダミー抵抗に容量負荷をパラるのを忘れていたので、0.12uをパラって方形波の応答を見た。
最初は無帰還。普通に波打っている。
こんなものでしょう。前回の330pでは補正しきれなかった。逆に1000pとか入れると波形が鈍る。
これだけで音はそうは変わらないのだが。
回路図も修正済み。
2007年07月22日
自作アンプの音質に関する備忘録
長女は林間学校で不在、妻はお出かけで、一日長男とともに過ごした。いろいろと遊びにつき合わされながら、合間に3台の自作アンプを聞き比べたので、その感想を備忘録代わりにまとめておく。
ほとんど個人的なメモみたいな内容なので、以下を読まれる方はその旨ご了承ください。
主力の2A3C/EHシングルアンプ…奥行き方向に音場が広がる。シングルなので低音はどうしても控えめ。2A3Cを挿すと、モダン楽器、特に中低音域の楽器には独特の艶っぽい音が魅力的。その分、高音楽器はともすればうるさくなる(ソースの録音次第)。バロックヴァイオリンやトランペットは少々辛いものがある。EHを挿すと艶が消え、普通のバランスに近くなる。低域の欠点はそのままに最大の美質が失われるので、奥行きがあるだけの根暗サウンドになってしまい、やや物足りない。
サラウンド専用だった10EW7差動アンプ…一言で言えば端正。2A3Cと比較して何かが足りないと感じていたが、足りないのではなくてむしろこちらが本来は過不足ないのだろう。ダンピングファクタが10というのはクラシックには好適なはずの値だが、個人的な好みからするともう少し緩くても量感があったほうがいいようだ。主力に据えるにはもう一段のプラスアルファ的な魅力がほしい。とはいえ駄球ばかりで構成し、部品も一般品のみ使用、その割に健闘しているというべきか。球もトランスも定格いっぱいの動作で、かなり熱くなるので動作点は見直すべき。
自室用のつもりの8B8ロフティン・ホワイトアンプ…2A3と反対に音が手前に出てくる。音像の輪郭もくっきり。小型の外観に似合わず元気に鳴る。こちらもうっとりと聴き惚れるというタイプの鳴り方ではないが、高音がでしゃばらないせいか、2A3よりもバランスよくフラットな感じ。要所にカーボン抵抗を使っているが、思ったほど中域が厚くならないのは、すっきり系のコンデンサと相殺されているのかも。
2007年07月21日
揺らぐ主力アンプの座
8B8アンプも完成状態となり、再びメインシステムに組み込んでの音出しを試みた。
前回と大きな違いはないのだが、要所にカーボン抵抗を入れてみた。ロフティン・ホワイト回路なのでコンデンサの影響も少ないが、唯一気がかりなのは初段のカソードのパスコンに一般品のソリッドタンタルを使用した点だ。ディップタイプで、見るからにリードが細いのも気になる。
現在の主力アンプたる、2A3Cシングルアンプとの比較になる。一聴して8B8は前回より音が団子にならず、ひたすら前に出てくるよりは横への広がりもでて、なかなか好ましい。
2A3に切り替えると、音はさらに広がり、奥行きもでて、響きが豊かになる。さすがにこちらは8B8のアンプ全体くらいのコストを出力トランスだけにかけているだけに、一枚上手の音がする…そう思って、試聴ディスクをモダンチェロの独奏からバロックアンサンブルに入れ替えた…すると、ちょっと印象が変わった。
2A3では、余分な響きが乗るというか、バロックヴァイオリンやトランペットが派手気味で、ところどころややうるさく感じられるのだ。8B8の方ではそんなことはなく、比較すると地味にも思えるが、ティンパニの輪郭などはむしろ明確だし、色付けが少ないというのはこういうことかと思わせる。
2A3でモダン楽器を鳴らすと響きが美しく、とても魅力的に思えるのだが、バロックはどうもいけない。今までも何度もかけていたディスクで、てっきりソフト側の問題かと思っていたのだが、どうやらアンプの問題だったようだ。それが今回の試聴で判明してしまった。
低域側も弱い…というより、少々緩めなのはわかっていたが、バランス的に派手な中高域に負けている。
モダンチェロの無伴奏のディスクがお気に入りで、一時そればかり聴いていた時期があったのだが、結果的にそれで音をチューニングしたような形になっていたのかもしれない。問題点があぶりだされたので、改善の方向性も決まったわけだが、新人の改善点を探るつもりが、主力の粗が見えるとは予想外だった。
およそ原因の見当はついてはいるのだが。おそらく、以前から気になっていたコンデンサ関係である。信号ループから電解を完全排除して、フィルムコンだけで構成しているので、それらの色がつきやすいのはわかっていたはずだったのだ。OSコンも使っているし。
このままチェロ専門のアンプにする…には場所を取りすぎるので、やはり手を入れるしかない。
一方、8B8ロフティン・ホワイト型“Ragna-6”は上々の結果となった。この素直さを、2A3Cシングルに取り込めるかどうかが腕の見せ所になりそうだ。
そうそう、最近はSACDマルチチャンネルのサラウンド専用になっている10EW7差動アンプも、もう一回比較試聴してみないと。
2007年07月20日
調整…8B8ロフティン・ホワイト
低周波発振器をオークションでゲットして、測定と調整を行った。まずは周波数特性から。
シングルアンプの割には広帯域なのではないかと思う。続いて歪率。
出力1Wまで5%以下で、そこから急上昇するので、まあ定格出力1Wというところ。6BM8シングルアンプとしては妥当な線だろう。
方形波を入れて、負帰還の位相合わせも行った。
抵抗だけのときの10kHzの方形波の様子。わずかにオーバーシュートしているが、直結回路だけに位相の回りは小さく、このままでも良いくらい。
負帰還抵抗に330pをパラった。
修正した回路図を掲載する。初段の入力は、artist-miさんのご助言に従っている。残留ノイズは55uV、こんな古典回路のシングルアンプとしてはいい値ではないか。出力管のカソードを信号ループから外しているので電源のリップルが乗りやすいはずだが、リップル対策はこれだけやれば十分ということだ。
ダンピングファクタは5.5。
写真満載ついでに、もう一丁。穴倉に設置した状態がこちら。
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2007年07月16日
復活のラグナァ
もう、思わせぶりなタイトルをつけるのが趣味のようになっている。
この穴倉のような自分専用のスペースに、まともなPCを設置するのが懸案になっていた。これまで使っていたThinkPad 390E(買った時点で中古だった)は、PentiumII 300MHzと、最新のPCに一桁以上性能が劣る。98年製だからまさに前世紀の遺物。Windows 2000を終了するのも待ちきれないほど時間がかかる。Windows Updateはさらに大変で、更新ファイルをサーチするだけで10分以上も待たされる。こんなにローカルのCPUに負荷がかかる操作だったとは、このマシンを使ってみてはじめて知った。
さすがにやってられないので、買い替えを検討していた。
スペースの関係でノートPCを考えていたが、中古でもまともな性能のものは10万くらいはかかる。ずっと自作でやってきた者としては、結構抵抗のある金額である。部品にしてもソフトにしても、払ってもせいぜい2~3万で買えるものばかりで組み上げるからだ。
一方で、先日マザーボードが逝ってしまったメインPCを廃棄しようとしていた。自作PCの廃棄は、ここに手数料を振り込んだ上でゆうパックで発送する必要がある。面倒で先延ばしにしているうちに、再利用を思いついてしまった。
結局、マザーボードが道連れにしたのは電源ユニットだけだった。1万円以上した静音電源だからそれでも痛いが、マザーボードと電源は予備がある。ディスプレイさえ用意すれば、実はもう一台組めるのだった。
一昨日製作し、穴倉に設置。Naxos Music Libraryで曲(デュパルクのヴァイオリンソナタのチェロバージョン)を再生し、ほぼ完成したアンプで鳴らしているところが上の写真である。
とにかくジャンクで固めたようなPCだ。CPUとHDDは破壊したと思い込んでいたものである。メモリーとDVDドライブは買い直したDELLに入っていたものを抜いて再利用。マザーボードは、以前ソフマップの中古部品買取窓口で、パターンに傷があるとして買取を断られた代物(動作上は問題ない)。ディスプレイはまさにジャンクの15インチ。ケースは、いったんは廃棄しようと思って梱包しかけた(NECが以前サーバー用に使っていたほど、モノとしては頑丈かつシンプルでなかなか良い)。思えば電源ユニットも、秋葉の中古部品屋でジャンクとしてただ同然で買ったものだ。ここまで徹底すると、いっそ清々しい(笑)。
今回は自分専用のマシンなので、信頼性にさほど気を使う必要はない。クラッシュを恐れず、静音化もトライした。といっても金をかけないのが今回のテーマ(?)なので、HDDをアルミの箱に封印したのと、ファンの回転数を下げたことくらいである。ジャンクな電源のファンが、劣化のせいかチリチリと音がして気になるが、もともとがジャンクなのだから、いずれまともなものに買い直してもいい。
マザーボードが実は特殊なもので、サウンドの出力回路に真空管を使用している変り種だ。これにASIOを効かせて、自作真空管アンプを通し、手作りスピーカーから鳴らす(実はエンクロージャは組みあがったものを買ったので、“自作スピーカー”と称するのは無理がある)。
場所は自分専用の穴倉。“穴倉”のアナグラムで「ラグナァ」と呼ぼうかと思っている(“ァ”がチャームポイント)。
2007年07月12日
アンプビルダー
オーディオを自作する人には、技術者である以外に、芸術家めいた一面がある。
スピーカー製作者は特にそうだが、アンプビルダーについても同様のことは言えるだろう。
性能が出ていることは必要だが、それだけではない要素も多かれ少なかれある。音の良し悪しは、特性の良し悪しとは必ずしもイコールではないし、特性が良ければよいほど音も良い、なんてことは全然ない。しかし、やはり特性が悪いものは、いくらがんばっても大した音にはならない。良い特性は良い音の必要条件だ。
ピアニストのビルトゥオジティと音楽性の関係にも似ている。どんなに音楽性に恵まれていても、ド下手ではプロとは呼べない。
尤も、いくら指が回ってもそれだけではダメだ。そう言えばシュタットフェルトよ…あの落ち着かないモーツァルトは何だったのだ? もしかしてゴールドベルク変奏曲だけの一発屋だったのか?(7月1日狛江エコルマ)。
どんな優れたピアニストでも、ピアノが限界を超えてひどければ、良い音楽を演奏することは叶わない。フェルツマンが都内某ホールで行ったリサイタルのように。アンプビルダーもまた、どんな名人でも、まともな測定器がなければ、ある程度以上に性能を追い込むことはできない。
私はもちろん名人でもなんでもないが、良い測定器があってはじめてまともなアンプが出来る、というのは名人と変わらない。さらに「まともなアンプ」から「良いアンプ」に仕上げられれば名人に近づいたことになるだろう。プロとしての技巧を備えた演奏家が、さらに音楽性を要求されるのと同じように。
さまざまな素材を自由に使いこなして、それぞれの特徴を活かしたモノが常時作れるようになれば名人だろうが、その域は遠い。
まあ、遠いのは望むところである。そうすぐに到達できるような底の浅い世界だったら、すぐに飽きてしまう。それより、行き着く先がそう簡単に見えないくらいのほうが、末永く楽しめて良い。
まだまだ残りの人生は長い。私はおめでたいので、長生きするつもりなのだ。
2007年07月10日
根本がなってない
せっかくいい(よさげな)アンプが出来たので、ばっちり特性を図ってやろうと意気込んでみたものの、どうも様子がおかしい。周波数特性はまずますだったが、歪率がよろしくないのだ。
導入後、ようやくまともに稼動した歪率計を最初に疑った。しかし、いまひとつ納得がいかない。
もしやと思い、低周波発振器の信号を直接に歪率計で見ると、これがよろしくない。どうやら、信号源自体がひずんでいたようだ。
念のためオシロで波形を見てみた。さすがに見てわかるくらい歪んでいるわけはない…そう思いながら、何気に発振器のスイッチを正弦波から矩形波に変えてみた。すると…オシロの管面には、とても矩形とは呼べない、サメの背びれのような波形が並んでいた。
これはアカン。高周波でのリンギングを見るどころではない。
信号源がきれいで歪のない波形でなければ、歪率なんて何を計っているんだかわからなくなる。おおもとの、根っこの部分がダメなのだ。
自分で修理しようかとも思ったが、この発振器は上限が200kHzまでしか出ないなど、もともとスペックにも不満はあったので、思い切って新調することにした。といっても新品は高くて買えないから、オークションで出物を待ってみるつもりだ。
2007年07月08日
完成…8B8ロフティン・ホワイト
昨日行った特性の測定と、負帰還を含む調整により、いったん完成というレベルに漕ぎ着けることができた。回路図もできたので掲載する。
型番は8B8だが、完成は2007年7月7日と7並び、実にめでたいアンプである(笑)。
先ほどから今のメインシステムにつないで鳴らしているが、なかなかいい感じに仕上がっている。2A3Cのアンプが雰囲気を良く出すのと比べて、こちらは積極的に音を前に出してくる。音の隈取がはっきりして実在感がある……これは妻と共通の感想。
特性がまた良くて、残留ノイズはLchが0.15mV、Rchは実に0.08mVとなった。一応ミリボルで計っているので、未校正の機器とはいえ、そう派手に間違ってはいないであろう。
シングルアンプでここまでの値が出るとは思わなかったので少々驚いた。なにしろ出力管のカソード・バイパスコンデンサも省略し、カソードと出力トランスの手前をコンデンサでつないだ形式で、これはB電源のリップルがハムとして出易いようなのだが、にも拘らずこの値であった。徹底したリップル除去の効果だろう。
負帰還量は6dBで、ダンピングファクタは5.5(ON/OFF法)を得た。
周波数特性と歪率も測定した。がんばってグラフ化して掲載しようと思う。
これは一応、自信作といっておく。部品代は1万5千円程度。これなら本当にエレキットに対抗できそうな気がする。見た目はともかく、音では負けまい。
2007年06月30日
4chの愉悦
メインシステムでは今、SACDマルチチャンネル録音の、ショーソンの交響曲が鳴っている。
ホルンの音が奥のほうから、上下左右に3次元的に広がる。木管の音像の小ささと、音場の広さが、何の無理もなく自然に両立している。
SACDの良さは、この自然さにこそある。普通のCDで鳴らしても「オーディオ的にがんばっている」という感がぬぐえないのだが、SACDではそれ以上の音が、当たり前のように出てくる。聴き手もその音を、両スピーカーから等距離の位置で動かないなどと、必要以上に身構えることもなく、リラックスして楽しめる。
システムは、実はごく安価なものだ。
スピーカーは、メインはビクターの SX-700 を、オークションで2万円ほどで落札したもの。トールボーイ型で設置面積を取らないし、暖かい音で満足度は高い。サブは同じくビクターで SX-100 。これもオークションだ。同一シリーズで音のつながりも良好。
アンプはいずれも自作真空管。フロント2chとリア2chでそれぞれステレオのアンプを使用している。
プレーヤーはマランツの SA-8260 。高級品ではないのだが、特別な音こそしないものの、無理のない鳴り方をするので気に入っている。実はこれもオークションで買った。
アンプを除くと、トータルで8万円ほどしかかかっていない。定価では30万を超えるが、今店頭で売られているモノで同レベルの音を出そうとしたら50万でも難しいかもしれない。オーディオの退潮はそれほど著しい。
現在の課題は、AudioとVisualの共存だ。実はAV系の音はサラウンドになっていない。最近のAVシステムは、マルチchの音声をアナログで出力してくれないため、自作のアンプにつなげないのだ。両者の橋渡しをするプリアンプがあればいいのだが、なかなか良いものがない(たとえば、こんなもの。もちろん高すぎ)。そのためだけにAVアンプを買うのも大げさだし場所ふさぎだし、躊躇してしまう。
自作は難しいしねぇ。アナログ回路と単純なDACだけならともかく、サラウンドプロセッサ周りは素人の手には余る。
世の中、真空管アンプはブームだし、AVサラウンド環境との並存を望む声はきっと少なくないはず。どこか、そんなニーズを汲むメーカーは現れないだろうか。
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2007年06月28日
修正…8B8ロフティン・ホワイト
いろいろあって途切れがちだったアンプいじり。どうしてもハムが消せないままだったが、頭の中であれこれと原因を考えてはいた。
どうも球が唸るのが気になっていて、発振を疑ってみた。そんなに発振しやすい球なの?という疑問はあったが、とりあえず初段のグリッドに直列に発振防止の抵抗3.9kΩ(転がっていたものなので半端な値だ)と、GNDとの間にフィルムコンを挿入。フィルムコンは適当な値のものがなく、仮に0.012μをつけてみた。
それまでのハムは、ボリュームが真ん中ぐらいのときが最小で、それより絞っていくと若干増え、反対にボリュームを上げていくとハムも盛大に増えるという現象だった。ところがハムは消えていないものの、ボリュームの位置に依存しない、ほぼ一定の大きさになった。これは大きな変化である。やっぱり定番の対策は甘く見てはいけない。
そんなことをつらつら考えていて、ふと見ると、なんとヒーター回路がGNDから浮いていることに気づいてしまった。
電源トランスを交換する前、トランスの唸りが激しいので直流点火をやめて交流点火にしたのだが、そのときに配線を忘れていたらしい。というか、トランスを換装したときにもそのままだったのか…。
(半田ごてを手に持っていたので、気持ちの中だけで)頭を掻きながら、配線を追加。再び電源を入れると、残っていたハムがすっかり消えてなくなっていた。球の唸りも嘘のように静まっている。やっぱり基本をおろそかにしちゃあいけませんな……いや、別におろそかにしたわけではなく、単なる見落としです。どちらにしてもお恥ずかしい。
コンデンサがこのままでは高域がかなり早めに落ちてしまうので、別途50~100p程度のものを入手する必要があるが、ともかく先は見えた。やれやれ、だ。
一段落したら特性を測定して、負帰還をかければ大体完成である。7月中には何とかなりそうだ。
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2007年06月03日
音出しpart2…8B8ロフティン・ホワイト
ハムが少なくなったところで、再びメインのスピーカーにつないで音出し。昼間に家人もいない時間ができたので、普段より大きめの音量で鳴らしてみた。
これはなかなか良いではないですか。音の広がりが実に良く(『音場が広い』といいます)、それでいて各楽器もきちんと定位し、音像も巨大化しない。さすがにオーケストラのトゥッティは苦しいものの、小編成ではなかなか魅力的に鳴る。人の声も自然な感じ。
これはいけるぞとほくそえみながら、メインのアンプを2A3Sに換えてみると…やはり一枚上手でした。音の透明感がぐっと上がる。音の密度はそのままに、その場の見通しが良くなった感じがする。まあ、かかったコストが違いますからね。
2A3Sの出力トランスは2本で4万円だったが、これでも中古品を定価の半額で買ったもの。片や8B8のそれはすでにカタログ落ちしていて定価は定かではないが、2本で1万していない。
このコストでこの音が出ていれば御の字でしょう。
とはいえ、この電源トランスのうなりはやっぱりひどい。メインのスピーカーから聴取位置までは約2mで、ハムはほとんど聞こえないが、トランスの音はしっかり耳に届く。
やがて、音楽に混じって「ビヨ~ン」とかいう変な発信音のようなものまで混じるようになってきた。ステレオのど真ん中に定位する。左右の両チャンネルから出ているのだ。左右共通の回路というと電源部に限られる。これもやはりトランスが怪しい。触ってみると妙に熱いことに気づいた。定格の半分も電力を消費していないとはとても思えない。
やっぱり早めに換装しよう。
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2007年06月02日
調整…8B8ロフティン・ホワイト
スピーカーと耳との距離が60cm程度のところで聴く、というニアフィールド環境のせいで、普段よりもノイズに気を使わなければならない。ハム対策も、そういった観点で考え直した。
入力周りにシールド線を使ってみたが、思ったほど効果はなかった。そこでまじめにリップルフィルタの効果を疑い、コンデンサの容量を増やしてみると今度は効いた。トランスからの入力コンデンサも22μを倍にして、ほとんどハムは目立たなくなった。ボリュームを目いっぱいに上げるとハムは出てくるのだが、実際にはそんな使い方はしないので問題ない、としてしまう。というか、よくわからないんだ、原因が。
現状はハムよりも、電源トランスのうなり音のほうが目立つ。定格の半分の電力も使っていないのにこんなにうるさいのは、やはりトランスの不良かもしれない。サンスイの中古品だから、経年劣化かな。
東栄やノグチに適当なものがあるので、換装を考える。ひょっとするとハム対策にも効果があるかもしれない。どうも想定よりハムが多すぎるような気がしてならない。回路も配線もそれなりの対策は講じてあるのだ。出力トランスの配置も、電源トランスからは十分離してある。
CDからの音楽を再生してみると、なかなかご機嫌に鳴ってくれる。スピーカーがいつもと違うし、エージングもできてないものなので割引すべき点が多々あるにもかかわらず、鳴りっぷりがなかなか良いようだ。
そろそろ諸特性の測定をしてみようかな。
2007年05月22日
音出し…8B8ロフティン・ホワイト
夜中だったため小音量ではあったが、居間のメインスピーカーにつないでちょっとだけ音出しをしてみた。
初めての小型アンプだけにハムはある(しかも今回は、試しにシールド線を使わないで配線してみた)のだが、音自体は歪感も変な癖もなく、素直な感じの良いものだった。
まだ無帰還状態。この先、調整のし甲斐がありそうだ。
ちなみに某掲示板で教えてもらったカメラータのシューベルトの八重奏曲のCDをかけたら、メインで使っている2A3のアンプの音色上の問題があぶりだされてしまった。いつもならクラリネットやホルンに変な金属的な響きが載るのだが、この8B8ではそんな音はせず、ごく自然に鳴るのである。録音のせいではなかったのか…。これは初段に使っているOSコンの癖かもしれない。
今回の8B8では、当初OSコンを使っていたが、途中でソリッドタンタルに付け替えた。オーディオ用でもなんでもない一般品で、特に問題はなさそうだが、もちろんこの部分にも調整の余地はある。
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2007年05月21日
組みあがり…8B8ロフティン・ホワイト
エレキット対抗との噂もある? 8B8の3結シングルアンプをとりあえず組み終えた。
深夜なので音出しはできないが、バラック状態で各部の電圧に異常がないことはわかっているので、たぶん音は普通に出るはず。というわけでいったんシャーシもフタを閉じてネジ止めしてしまい、外観完成状態を眺めながら悦に入る(笑)。通電状態ではこんな感じ。
シャーシはオークションで落札したが、穴あけはハンドドリルとニブラーだけですべて行った。文字通り手をかけて作ったわけで、お手軽なキットよりは愛着も深いはずだ(キットを作ったことがないので断言はできないが)。
さて、どんな音を鳴らしてくれるか。
2007年05月14日
つれづれ
連休明けの先週は、気温が急激に上昇したこともあって体調がイマイチだった。土曜日は溜まっていた家事を片付けた上、娘のメガネの受け取りとか塾の保護者会とかで忙しく、日曜日はもっぱら休養に充てた。
何かをやったといえるのはゴーヤの種まきと、アンプのシャーシの加工である。
昼過ぎに自転車で家を出て、古本をブックオフに査定に出し、薬局で買い物、次いで農協に足を伸ばして少々の野菜と土を買う。日曜午後ともなると地場の野菜はほとんど売り切れ状態で、かろうじて蕗をゲット。それに、前日に成城で買っておいたチーズとあわせるためのジャガイモを少々。14キロの土をかごに載せ、ふらふらしながら家に帰る。
土をプランターに足し、ゴーヤの種を軽く埋め込んでいく。これで3週間は放置だ。こいつら本当に芽が出るのか、と思い出してからさらにまだ待たされるのだ。そんなのんびりペースでも盛夏には葉が生い茂って窓一面を覆い隠すほどになる。
夕方、暗くなる前のバルコニーにハンドドリル一式を持ち出し、あらかじめ用意した図面に合わせてカッターで傷をつけておいた通りに、アルミのシャーシに穴を開けていく。暑からず寒からずで作業中も快適ではかどる。ちょうど日没とともに作業終了。
入浴も夕食も済み、22時を回ると家族は寝室に。
丸穴はハンドドリルだが、角穴はハンドニブラという、爪切りの親玉みたいなツールでパチンパチンと切っていく。使うのは初めてだったが予想したほど手も痛まず気に入る。9割がたの加工は済んだ。一仕事終えた満足感とともに就寝。
こうしてみると、日がなごろごろしていたわけでもない。まずまずの週末だったというところか。
2007年04月22日
10EW7差動アンプ改造のその後と新しい計画
10EW7のアンプは安定しているのですが、問題点も明らかになってきました。
今回は出力管の許容損失ぎりぎりまで追い込んだ動作点を設定しているのですが、実は電源トランスの容量もほぼ目一杯まで使用してしまっています。厳密にはヒーター用の巻線にはまだ多少余裕がありますが、B電源用の巻線の容量はほぼ使い切っています。
そのため、電源トランスがかなり熱を持つのです。熱伝対を当てて測ったところ、表面でも60℃になっていました。内部の温度はさぞや……。
他にも真空管だって、MT管より太いとはいえせいぜい6SN7GTあたりと変わらないガラスサイズですから、結構熱くなります。また、抵抗で電圧をドロップさせている箇所も多く、電熱器をいくつも内蔵しているようなものなので、シャーシも相当な温度になります。
これでは使用部品の寿命だって短くなるでしょう。アンプとしての完成度に問題があるといわざるを得ません。
そこで、出力管の動作点をもう少し軽めに設定しなおして、電流を減らし、電源トランスの負荷も軽くすることにしました。計算上の出力は片ch8Wから6W程度に落ちますが、実用上はもちろん大差ありません。
問題は、今回新しいものに交換した電源トランスを、また元のものに付け替えないといけないなど、結構面倒な改造になりそうなことです。当初はノグチトランスのPMC-190Mを積んでいました。動作点を見直してB電圧を上げるため、同じノグチのPMC-170Mに換装したのです。今度はPMC-190Mでもぎりぎり可能な高さのB電圧に抑えることとしました。
どうせ大仕事になるんだったら、3段アンプ化と一緒に、別の機会にまとめてやろうということになり、当面は今のまま様子を見ることとしました。
それより先に、今度はもっと小型のアンプを製作することにしました。
実は自宅の模様替えで、自分専用の作業スペースがやっと持てた(!)ので、そこに置くアンプをこしらえようということなのです。
回路もほぼできてしまいました。8B8の三結でロフティン・ホワイト型シングルアンプにします。8B8は音のいいことで知られる6BM8のヒーター電圧違いで、比較的安く手に入ります。8Vのヒーター電圧は、6.3Vの巻線からDCで取り出します。あまり丁寧にリップルを除去する必要もないはずなので、難しくはないでしょう。
出力トランスはTANGOのU-608で、これも評判のいいものです。生産は終了していますが、オークションで中古品をリーズナブルに入手できました。
ロフティン・ホワイトの回路は、出力段と前段が直結というだけでなく、前段の負荷抵抗が出力段のグリッド抵抗を兼ねるという特徴があります。直結ですから初段のB電圧を上げ過ぎると出力段のカソード電圧がとんでもなく高くなり、B電圧も高くなりすぎ、適合する電源トランスがなくて苦労したりもするので、電圧配分に工夫が必要です。Webで6BM8の作例も見つけましたが、初段の動作点が気に入らず、あまり参考にはなりませんでした。3日ほどああでもない、こうでもないと頭をひねり、ようやくよさそうな回路が出来上がりました。清書したら、実物ができるより先に掲載してしまおうかと思います。ご高評賜れれば幸いです。
今回は定評のある球と出力トランスと回路で、小型ながらリファレンス足りうる性能を目指します。
2007年04月03日
10EW7差動アンプ改造版の回路図
改造版の回路図が描けたので掲載します。
改造前よりは図面としても多少すっきりしたと思います。回路自体がすっきりしたかどうかはともかく、回路図エディタソフトの操作に慣れたのは事実です。
回路を考えるのもそうですが、回路図を描くのも、辻褄合わせをしながら自分の美学との妥協点を探る(かなり大げさですが「カッコ悪いのは嫌い」程度の意味です)という作業は、結構好きだったりします。
繰り返しになりますがこの回路で一番気に食わないのは6J11の動作点の設定で、もっとプレート電流を流してやればゲインも稼げたはず(五極管なんだから)。しかし現状でも電源トランスは容量的にいっぱいいっぱいなので、現状のゲインでよしとするなら12AX7を使うべきだし、それよりはむしろ10EW7(t)をカソフォロでなく増幅段として活用し、20程度のμの球を持ってきて3段増幅アンプにするのが王道でしょう、やはり。
そうすれば三極管で統一できることになり、めでたく一点の曇りもない全段差動アンプとして胸を張れます(笑)。
なぜカソフォロにしようかと思ったかというと、6J11を流用したかったので、それを高いインピーダンスで受けて低いインピーダンスで出せるから、というもっともらしい理由のほかに、10EW7のバラツキが影響しにくいのではないかと考えたこともありました。
出力管として10EW7(T)はペアに近い組み合わせの球を見つけたものの、小さい方の三極部についてはペアになる保証は全くないので、特性のバラツキが影響しにくいと思われたカソフォロに使ったのです。
3段増幅にすれば当然、利得の左右のバランスも取り難くなります。10EW7は所詮テレビ球、バラツキはかなり大きいのです。
そう考えると、改造前のμフォロワで上に10EW7(t)を、下に6J11を使った初段というのは、純粋な差動増幅回路といえるのかどうかを別にすれば、出力インピーダンスは下げられるし、増幅率は大きめに取れるし、10EW7(t)のバラツキも可変抵抗を入れれば吸収できるし、と結構できの良い回路だったのかもしれません。
とはいえ、ここまで来たら純粋な差動増幅の王道を行きたい。いまさら後戻りはできません。今回の改造はあくまで途中の段階で、最終目的地は3段差動なのです。
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2007年03月31日
10EW7差動アンプを改造する:その3
途中、風邪を引いてしばらく中断したりしましたが、ようやく一応の完成をみました。
結局10EW7(t)はカソードフォロワにしたのですが、いくつかの目算違いが発生しました。
ちなみに回路図は、公開できるようなものはまだできていません。汚い手書きしかないので、近々作成します。
1、トータルの利得が小さかった。無帰還で8倍。
2、ダンピングファクタが予想外に大きかった。無帰還で6(ON-OFF法)。
3、サイドゲッターが全部手前を向いてしまった。少々格好悪い。
1ですが、どうやら初段の6J11の動作点設定が良くなかったようで、ここでゲインを稼げていないのです。60~70倍程度で、これなら素直に12AX7でも使った方がずっと良かった。回路も簡単になったし。
無帰還でのゲインが小さいので、NFBをどうしようかと考えながらダンピングファクタを測ってみたら、これがなんと大きいではありませんか。最初は測り間違えたかと思ったほどですが、オシロで波形を見ても、間違いはないようでした。
そこで、NFBは2.5dBに抑え、ダンピングファクタが10くらいになるように狙ってみました。結果、ゲインは6倍に減りましたが、ダンピングファクタは狙った通りに。
帰還量がわずかなので、特に位相補正も考えていません。
しかし見た目は…本当はもっとすっきり締まりのある外観になるはずでしたが…設計当初は、東芝製の10EW7を想定していたので、サイドゲッターではなかったのです。ところが9本あったのにバラツキが大きすぎ、まともな球が3本しか取れなかったので、急遽海外通販で5本購入。ラッキーにもこの中から2ペア取れたのですが、このSylvaniaの球はサイドゲッターで、しかもみんな挿したときにこちら側。いまさらソケットの取り付け方向を変える気にもならず、そのままとしています。いかにも間抜けですが、まあ、ご愛嬌ということで。
音はDFが効いてか、弾むような低音が心地よいです。定位感、音場感も良く、2A3EHのシングルアンプを脅かすというか、苦労して出来上がったせいもあって、こちらの方が良く聴こえます。ちょっと色気が足りないような気もしますが、球も全部新品だし、鳴らしこむうちに変わるかもしれません。段間のコンデンサとか、ちょっといじってみたいところもあります。
ただ、6J11の動作点は納得できないので、いずれ必ずいじります。
さらに3段アンプ化も想定しています。その場合は初段には球を使い(シャーシの都合上。穴が球2本分余るので)、12AU7や12BH7、12FQ7などの差し替えができるようにしてみたいという構想もあります。というより、これがやってみたくて3段化したい…。3種の球の特性もろくに見比べずに言っているので構想というよりまだ妄想に近いですが、やってできないものでもないでしょう。
2007年03月12日
浮気の終わり(早いな…)
次回は回路の検討、とまで書いたのに、もう方針変更です。
実はその後、1624のSG耐圧が300Vしかないのを見落としていたことに気づいたのです。これでは三結で大した出力は望めません。
そもそもは差動アンプの実力を見極めるというのが目的だったはずで、それならへんに直熱管にこだわるよりもEL34あたりで手堅く作った方が間違いがありません。もちろん、2A3あたりで作ってもいいのですが、シングルと同じ球で作るのも芸がないかと思っただけです。シングルの方をトリタンの球にでも変える手もあるし(でもトランスから何から全部交換だな…およそ安くは上がらない…)。ちなみに300Bは最初から候補にはありません。私がアンチ巨人なのと理由は同じです。
で、いったん新アンプ構想は脇において、10EW7に立ち戻ったわけです。
超三結V4の帰還率を調整しようといじってみましたが、どうもよくわからないので、とりあえず普通の五結+カソフォロに変更。これはわずかな変更ですみましたが、初段の双五極管(!)6J11のSG電圧を作るところで抵抗値の計算ミスのため、75Vの設計値に対して38Vの実測になってしまいました。これでは6J11にまともな動作は望めませんが、とりあえず計算はやり直したので、はんだ鏝を暖めて修正すればいいだけのはず。
しかし、そもそも五結では正しく差動増幅回路として機能しているのだろうか、という根本的な疑問が、今頃むくむくと頭を持ち上げてきました。この点については改造前から疑問の余地はあったのですが、やれSRPPだ超三結だというのと違って、あからさまな五結にしてしまうと、もう言い逃れができないというか、改めて気になるわけです。
素直に三極管だけの3段増幅にするなら、初段は低めのμのありふれた双三極管でいいし、回路的に無理もなければ難しくもない(普通すぎて少し物足りないが)。
まあ、この改造はいつでもやろうと思えばできるので、何か使ってみたい初段管が見つかったらやることにして(※)、当面は今の6J11を上手く動かし、どこまでの音と特性が出せるかというところに集中しましょう(と、構想だけ先走りさせがちな自分に言い聞かせる)。
※たとえば、ピンとヒーター電圧互換の管種を差し替えられるような構成でも面白い。多少のμの違いは吸収できるようなゲイン設定にすればいいでしょう。一般的なオーディオ管とコンピュータ管の比較ができないかな…などと、考え出すときりがない。でも一番楽しいのがこの構想段階ですね。
2007年03月10日
浮気の始まり
10EW7のアンプも、だんだん問題点が明らかになってきました。というより、私自身の問題点が(…)。
アンプ全体としてのゲインが、3.9倍しかないことがわかったのです(もっと早く測っておくべきでした…)。考えるに、どうやら初段のゲインが当初の目論見よりはるかに小さいらしい。
よくよく考えると当初の目論見というのが極めていい加減で、五極管の増幅率がそのまま反映されると仮定していました。超三結と言うのは三極管で五極管に強力なNFBをかけるわけですから、ゲインは大きく減って当たり前です。
初段の超三結V4の動作原理を、やっぱりきちんと理解していないというのが結論です。
で、まじめに勉強してNFB量を調節して適当なゲインを稼げるようにするべきなのですが、ずっと同じアンプをああでもない、こうでもないといじっては悩むのにちょっと疲れてきました。
超三結をやめて、普通のカソードフォロワにすることも考えて、回路も書いてみました。しかし何だか妥協の産物そのものになってしまい、出来上がったアンプに愛着が持てそうにないので、その案は立ち消えになっています。
予備の球も買い込んだし、いずれは再チャレンジするでしょうが、当面は放置することにしました。ではアンプいじりは暫くやめるかというとさにあらず。
10EW7というのはそのTV球のしかも複合管という素性からいっても、ヒーター電圧からいっても、押しも押されもしない駄球です。なので今度は、シングルアンプの2A3ほどではないにしても、プッシュプルのアンプももっと正攻法というか、普通の球で直球勝負したくなったのです。
直球というからには直熱管で(笑)。
プッシュプルも、AB級というのはどうも昔から好きではないので、A級で行きたい。それなら差動で。まともな球で、差動回路の実力を見極めてみたい。
直熱管とは書いたものの、直熱三極管はどれも値が張ります。そこで思いつくのは直熱五極管やビーム管の三極管接続です。差動だから三結は当たり前ですが。
最初に考えたのは47でした。古典管で、うまく作れば45のような音がすると言う噂も。値段は海外通販で20ドル台、中古なら10ドル程度からあります。
ちょうどセール品があったこともあって、ほとんど注文しかかったところで、難点に気づいて危ういところでストップ。
この球、内部抵抗が高いですね。三結で2.5~3kΩほどもある(Webや書籍で見つけた実測データ)。プッシュプルでの最適負荷は2本分の内部抵抗値の2~3倍なので、10kΩから15kΩでしょう。差動出力の場合はさらにその2倍程度が望ましいということで、少なくとも20kΩ……というと、かなりトランスを選びます。4Ω端子に6Ωのスピーカー(我が家のメインシステム)をつないだとしても、1次14kΩが必要です。皆無ではないものの、選択肢が極めて限られる。
残念ながら手持ちのトランスはもう少し低めのインピーダンスのものばかり。当面、これ以上トランスを新規購入するつもりはないので、少なくとも今回は見送りになりました。
直熱多極管は案外種類がないので、巨大な送信管を除くと選択肢は本当に限られます。電池管も興味はありますが、いずれも小ぶりで今回の趣旨からは外れます。そうなると1619/1624と、2E24くらいになりますか。
2E24はプレート損失が10Wとやや小型で、特性を見てもグリッドをプラス側に振り込んで使うのが本来の使い方らしい。将来的に興味はありますが、これも今回はパス。
1619はメタル管でプレート損失15W、1624はUY(5ピン)のトッププレートですが、25Wまで定格が拡大されています。これなら不足はありません。
欠点は三結の特性がまったく不明なことですが、幸いK.ameさん(※)がWebで実測の特性データを公開されていました。これを見る限り、三結での内部抵抗は1.5kΩ程度と、まずまず。1次8kΩ程度のトランスでも何とか使えそうです。値段も、件のサイト『AES』では16ドル程度と、47よりまだ安い。もうこれで決まりです。
次は、具体的な回路の構想です。次回に続く…。
※この方のサイトは凄いの一言です。トランスを自分で巻いておられます。確かにここまでやれば、どんなアンプも『自分の作った音がする』といえるでしょう。自家製トランスにもいつか挑戦してみたいけれども、いったいいつになることやら。
2007年02月03日
10EW7差動アンプを改造する:その2
リップルフィルタと定電流部の改修はつつがなく成功。ほぼ狙い通りの電圧が各部で出ている。
よしよし、ということでプッシュプルのDCバランスを取ろうとするが、片chだけどうしても合わない。球を交換しても、ボリュームをいくら回してもダメ。
おかしいと思ってシャーシの裏蓋を外してみたら、テストピンへの配線がなくなっていた……。
改造の途中で断線したので外して、再び配線するのを忘れていた模様。
測定や音出しは、今晩以降だな……。
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2007年01月25日
10EW7差動アンプを改造する
さて、2A3シングルアンプにメインの座を奪い返された10EW7差動PPアンプも、ただ指をくわえて顛末を眺めていたわけではない(笑)。冷静に状況を分析し、反撃の機会をうかがっていたのである。
これまでのバージョン(以下、Ver.1と記述)の問題点は以下の通り。
1)電源トランスが容量不足
ノグチトランスのPMC-190Mを採用していたが、220V190mAでは出力管の動作点が最適化されていなかった。
2)出力トランスが非力
東栄のOPT-10P(8KΩ)を採用し、8Ω:8kΩで使用していたが、50Hzで10Wというのは最大出力8Wクラスを狙うアンプにはやや非力だった。
3)初段のμフォロワ(ぺるけドライブ)の動作がすっきりしない
10EW7の小さいほうのユニット(以下「10EW7(t)」と記述)をSRPPの上に、双五極管の6J11を下に使ったμフォロワ(ぺるけドライブ)を初段に採用した2段構成だったが、10EW7(t)のバラツキが大きく、またこれを調整するために可変抵抗を4箇所も、しかも信号が流れる箇所に入れるのが嫌だった。また、片chに合計11mAも流して使うのも、電源トランスに余裕がないのでもったいない感じがした。
また、メインスピーカーがインピーダンス6Ωのものに替わったこともあり、動作点を見直してもう少し高い電圧で高い負荷でドライブしたいと考え、以下の対策を考えた。
1)電源トランスをPMC-190Mから170Mに換装
一見190mAから170mAに容量ダウンしたように見えるが、実はB電圧が220Vから290V~350Vに上げられる。290V巻線で十分である。6Ω負荷で片ch5Wを切っていた出力も、見直した動作点なら7Wを超えるはずだ。
2)出力トランスをハモンドの125Eに換装
公称15Wのトランスなので大したサイズアップではないが、このトランスは接続方法でいろいろな一次インピーダンスに設定できるので、後々の使い回しがきく。先日の試聴会で高域の伸びなどが好印象だったこともあり、ハモンドのトランスを使ってみたかったこともある。
3)初段を超三結Ver.4に変更する
一時は普通に6J11の五結を10EW7(t)カソードフォロワで受けることも考えたが、普通すぎてつまらないので、勉強の意味も兼ねて超三結に挑戦することにした。これだと設計上は片chに4mA流せば動作する。音は……やってみないとわからない。
回路図は、チラシの裏に下書きしただけなので、まだ掲載できません。
これらの対策のために回路を書き、部品定数を検討、足りない部品を集め、改造に手をつけるところまでが昨年末のお話。年明けの某試聴会に間に合わせようと焦って組み上げた…かに見えたが、電源を入れたものの+Bが妙に高い。調べたところ、リップルフィルタのTrが死亡していた。
当たり前だ。+Bを大幅アップしたのに、もともと耐圧がぎりぎりだった部品が即死したのだ。耐圧がいくつのTrを使ったか、きちんと記録しておく几帳面さのない私のエラーである。
手持ちに適当な代替部品がなく、買い付けに行くまで作業はストップ。
買ってきた代替品はhFEが30以上と低い。hFEを測定する環境がなく、組んでからの現物合わせもなるべくしたくなかったので、2つ使ってダーリントンにしてしまう。これならBE間の電流は無視できる。
ここで、初段のところの定電流Diを11mAから4mAに付け替えるのを忘れていたことに気づく。もちろん1本で11mAにしていたわけではなく、2~3mAのもの4~5本をパラレルにしていたので、これをいったん全部外し、測定しなおして片ch2本ずつで4mAにできた。さあ取り付けよう……というところまでが昨晩のお話である。
さて、この後どうなりますか。
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2006年12月30日
スピーカーの設置
数日前のことだが、メインスピーカーのセッティングを調整し、音が格段に良くなった。
具体的には、モノラルの音源を再生し、音が正確に両スピーカーの間の1点から出てくるように、スピーカーの間隔を調整するのだ。それだけだが、ステレオ再生時には明らかに音像がくっきりとし、包み込むような音場も広がり、バランスよく聴けるエリアさえ広がった。
以前は両スピーカーから耳までの距離が変わると(ちょっと頭を動かした程度でも)音のバランスが変わるのがわかったが、今はそんなシビアな状態ではなく、ゆったりと音楽に身を任せられる。
モノラルの音源は、「ペレアスとメリザンド」の戦時中の録音(デゾルミエール指揮の名盤)を使用した。人によっては何かの独奏の方が調整しやすいというが、今回大編成で試してみて、この方がやりやすいように感じた。
調整はまず片側のスピーカーの位置を固定し、もう片方を最初は大雑把に5cmくらいずつ左右に動かし、徐々に小刻みにしていって、最後は1cm以下の範囲まで追い込む。最初は歌手は中央で歌っていても、低弦はその右下から聞こえたり、フルートは左よりだったりと、音域によって微妙に聞こえる位置がずれていたが、追い込んでいくほどに音がまとまって聞こえるようになり、やがては眼を閉じれば20cm以下の口径の仮想フルレンジスピーカー1本が鳴っている様子が脳裏に描けるくらいになった(もちろん、実際に鳴っているのはフロア型3ウェイ)。
この時点でスピーカーの距離はユニット中央同士で2m弱。スピーカーの向きは内振りで、正三角形の頂点になるリスニングポイントよりも気持ち後方で両スピーカーの軸が交差する感じだ。
この調整方法はネットで知ったもの。私のオリジナルではありません。よろしければ、お試しあれ。
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2006年12月24日
一瞬だけ光る球
2A3Cの初段の12AX7を、Eiのニッケルプレートのものに換えた。
電源を入れてみると、その12AX7が一瞬「ぴかっ」と光る。「さては不良品をつかまされたか?」と思ったが、2個とも同じように光るのが納得いかず、再度電源を入れなおすとやっぱりオンの瞬間だけ光る。
音は正常のようだ。
せっかくなので、光る様子を携帯で撮影してみた。こんな感じ。
これはこういうものなんだろうか。いろんな球がありますなぁ。
ところでこの冬休みの工作は、まず10EW7全段差動アンプの改造から。初段のμフォロワを、「超三結」という新しい形式に変えてみるのと、出力段の動作点を変え、トランスも換装する。
はずした電源トランスを流用して、次のアンプを作る構想もできている(回路もでき、部品もそろっている)。TV球を使った、これも超三結のシングルアンプだ。
アンプの構想も次々とできてくる一方、測定環境はなかなかそろわない。ミリバルくらいはないと周波数特性も測れない。普通に買うと測定器は高いので、オークションで探してはいるのだが、いつになることやら。
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2006年12月10日
初試聴会
同僚宅にて、自作アンプ愛好家3人のミニ試聴会を行った。自作の品を携えての初参加である。
残念ながらスピーカーの調子が万全でなく、たまたま似たようなアンプが集まった(直熱三極管シングル)こともあって、ヒアリングでは「大差ない」という結論に集約。周波数特性の簡易測定では我が2A3EH/Cシングルが最も成績が良く(※)、気分よく帰宅した。ざっくり10Hz~40KHz±3dBだったかな? 後でデータを送ってもらおう。
(※…おそらくタムラの高級トランスの優秀な特性のおかげ。ちなみに他の方のはタンゴとハモンド)
オシロで波形のクリップを目視しながらの簡易出力測定では、4.5Wという結果。自宅のメインスピーカーの6Ω負荷に最適化しているので、8Ωでの測定にしては上出来とこれも自己満足。これでも一般的な2A3シングルアンプとしては大きいはずだ。
比較試聴用のディスクは聴き慣れたものよりも、いかにも差の出そうなものを選んだ方がよさそうとか、やっぱりミリバルは欲しいとか、そういった試聴会そのものにまつわることはおいておくとして、単純に「自分の城」といえるスペースがあるのはうらやましい限り。
この正月休みまでに自宅マンションのレイアウトを変更し、狭いながらも自分専用スペースを確保できる予定なのだが、そのためのモチベーションアップにも役立つ週末のイベントだった。
まずは不要物の整理だなぁ。値段の付きそうなものをセレクトしてヤフオクで、と思っていたけど、この際まとめてブックオフ行きかも。
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2006年12月05日
紫の閃光
突然、2A3Cシングルアンプのヒューズが切れるようになった。
電源投入すると、数秒で切れてしまう。
調べたところ、整流管のGZ34を交換すると切れないようになった。
何が起きたのだろうと、ヒューズをスローブロータイプに替えて、問題のGZ34を指して電源を入れると…
パチパチッという音とともに、GZ34の管内に紫色の火花が飛んだ。それも1筋や2筋ではなかった。
慌てて電源を切り、事なきを得た。他の球などを巻き添えにされてはかなわない。
このGoldenDragonのGZ34は新品か、新品同様だったはずだ。エージングが進んでから顕在化した不良なのだろう。たまたまオークションで安く手に入れたものだったが、まともに買ったら結構する。これ1本だけでも痛い出費だったはずだ。
やれやれ、というところである。
2006年11月11日
中だるみ
せっかくできたばかりのアンプ、いざ測定…と思ったらオシロが不調で出鼻をくじかれてしまったのでした。
SRPPと出力段の歪打消しなどもやってみたかったのに、PCを使った歪率測定も、PCのオーディオ回路の利得が高すぎて、これも頓挫。
やや投げやりに、次のアンプの回路を考えて過ごすも、超三結ミニアンプは回路がえらいシンプルで、あっという間に書き上がってしまい、バラックでも作ってみないと話が進まない段階に。部品もほとんどそろってしまって、作るばかりになっています。
オシロを直すのが先決と思いつつ、なんとなく面倒で手をつけずにずるずると何日もたってしまいました。部屋の模様替えの計画もあるので、その後でも良いかな。
2006年10月25日
2A3シングルアンプの改造(3)
忙しい時期をようやく脱して、久々にいじれた…と思ったら、約1週間で出来上がってしまいました。部品点数が多くないので。
![]()
ポイントは
1)タムラの大型トランスF-2006の使用(一次側2kΩのところ、4Ω端子に我が家のメインスピーカー6Ωをつないで、3kΩとする)
2)出力管の動作ポイントは、Ep=305V、Ip=65mAとする。バイアスは60Vとなる
3)信号が流れる部分からケミコンを排除する。初段のカソードはOSコンを使用。出力段はカソードからGNDでなくB電源との間にフィルムコンを入れる。B電源のデカップリングもフィルムコンを使用
といったところでしょうか。
2)の動作条件は2A3というより、ほとんど300Bのそれです。従ってオリジナルの2A3は、とてもじゃないが使えません。ロシア製2A3EH、または中国製の2A3Cの使用に限ります。これらは見た目からして300Bにそっくりですが、実際にこのプレート損失20Wにもなるような条件で使用してもびくともしません。音も300Bに近い…かどうかは、300Bの音をちゃんと聴いたことがないのでわかりませんが(苦笑)。
写真の球は2A3EHです。
回路図は…
Download file
暫定ですが、こんな感じです。
まだちゃんと測定もしていないので、12AX7のSRPP一段増幅で、60Vのバイアスをきちんと振れているかどうかも確認していませんが、多分大丈夫でしょう。それより出力をちゃんと測らねば。5Wくらい出ていそうですが。
今後はSRPPのバランスを崩すことで2次歪をわざと増やして、出力段との歪打消しを試してみるとか、段間の結合コンデンサを変えたりと、いろいろいじる予定……だったのですが、実はちょっと怯み始めています。なんといってもタムラのトランスの重いこと! 以前と違って気楽にひっくり返していじるわけにはいかなくなってしまいました。
このアンプは実験的なもう1台と違って、オーソドックスな手法でなるべく妥協せずに音質追求するはずだったのに、重さに負けて妥協してしまいそう。慣れない高級品に手を出すと(オークションで半額で買ったものとは言え)、意外なところに落とし穴があって面食らうという、間抜けの典型ですね。
天板の2ミリのアルミ板は、自分でスプレー塗装しました。前回は車のアルミホイール用というのを買ってきていきなり吹き付けたら、ペロペロ剥がれて閉口しましたが、今回はアルミの門扉などに使うものを最初に吹き付け、上からホイール用を重ねたところ、だいぶ丈夫になったようです。作業中に何度か手が滑ってドライバーがぶつかったりしても、まったく無事でした。
事前にサンドペーパーで表面を荒らしておいたのも効いたかも。次回のおもちゃいじりのときもこの手で行くつもりです。
2006年09月07日
2A3シングルアンプの改造(2)
さて、東急ハンズで加工してもらったアルミの板に、小さなネジ穴は自分で追加工して、アルミの門扉などを塗装するためのスプレーで(この辺が手抜き…)下塗り、さらにアルミホイール用のガンメタのスプレーで上塗り(実は、最初のスプレーの色が気に入らなかっただけ、というのは内緒)。なかなかいい感じに仕上がってきました。
それから部品類をネジ止め。2A3用のソケットは、スペーサーで板の面から10mm強沈めて取り付けました。そのため、あらかじめ穴は40mm径という、余裕をみたものをあけておいたのです。
で、この時点でまだ回路がFIXしていないという…。
今回は、ロシア製の2A3を使います。
現在は一般的な条件で、プレート電圧250Vで55mAほど流しています。負荷は2.5kΩ。
これよりもっと厳しい条件で動作させようというのが目的です。
プレート電圧300Vで、60mA流すか。50mAに抑えるか。いずれにしてもトランスの都合で、負荷は3kΩです。そもそも今回の改造は、出力トランスをオークションで落札したものに替えるのが出発点なので、ここは動かせない。
60mAだと損失が18W。規格は15Wなので20%オーバー。これはやりすぎかなぁ。いくら丈夫なロシア球とは言え。
本当はもう少し電圧を高めにかけたいのですが、それだとトランスの負荷がもっと高くないと、動作点がぜんぜんダメ。
やっぱり280~90Vで、50~55mAを狙うのが妥当かなぁ。
もう一つ、自己バイアスにするか固定バイアスにするかも悩んでいました。トランスにも余裕はあるし、整流管を使っているのでこれを変えればB電圧を変えるのは問題なし。
固定バイアスのほうが抵抗での無駄な発熱が少ないし、やってみたことがないので魅力的でした。
しかし、今回は規格ぎりぎり(もしくは若干オーバー気味)の条件で球を使うので、万が一のことも考えると自己バイアスのほうが安全という考えに傾いています。
さて、どうなりますやら。
2006年08月19日
2A3シングルアンプの改造(1)
以前から構想と部品集めだけには余念がなかった、2A3シングルの大改造についに着手。といっても、東急ハンズに加工依頼しておいたアルミ天板を受け取ってきただけ。
今回は出力トランスを交換、動作点も変更してB電圧を上げるので、結構な改造になる予定。
天板だけがアルミで、他は木製のシャーシをオークションで落札。付いてきたアルミ板には手をつけず、ハンズで買った2ミリのアルミ板を、持参した図面とともに加工受付に持ち込んだ。角穴と、大き目の丸穴だけを依頼して、ビス穴のほとんどは自前のドリルで開けるつもり。シャーシの本格的な加工は初めてなので、ちょっとどきどき。
で、穴加工できたのを見たら…
案外汚くないすか、この仕上げってば?!
やすりで仕上げをしないとだめみたい。こんなもんなのか。
しかし板は2000円しないのに、加工費は5000円近くしたんだが。ううむ…。
2006年06月02日
オーディオのアンプとギターのアンプ
これまで書いてきた“アンプ”とはオーディオ用のアンプのことです。真空管はギター用のアンプにもよく使われますが、実はこれらは似て非なるものなんですね。
オーディオは低音域から高音域まで、ある程度以上まんべんなく再生できないといけないのですが、ギター用では逆に、ギターの音域以外は邪魔なのです。
これを十分理解していなかったので、オークションで失敗してしまいました。
「出力25W」と書かれた出力トランスが、出品されていました。オーディオ用としては1個3,000円という破格の値段でしたので、ステレオ用に2個落札しました。
「ギターアンプ用」とは明記していなかったのですが、とあるアンプの補修用パーツとして、アンプのメーカーと型番が書かれていました。そのメーカーがギターアンプのメーカーだったので、そこで気づくべきでした。
届いた品物は、25Wとしてはあまりにも小型のものでした。オーディオ用の10Wクラスと同等でした。
出力トランスというのは、物理的な大きさと出力の大きさには相関があります。
また、低い音ほど出力が出にくい。周波数の2乗に比例して、出力が小さくなるのです。100Hzで10Wなら、50Hzでは2.5Wになります。20Hzだと0.4Wになってしまいます。
ギターアンプ用の25W品は、やはり100Hzで10W程度のものでしょう。計算では、158Hzでなら25W取り出せることになります。
あるいは、ギターアンプは歪に対して寛容なので(あえて歪ませるらしい)、もう少し低い周波数でも高めの歪率でなら25W取り出せるのかもしれません。
どちらにしても、得な買い物ではなかったということです。100Hzで10Wのオーディオ用出力トランスは、1個3,000円弱で購入したものでした。変わらんじゃないか…。
2006年05月23日
真空管とモノポリー
モノポリーという名作ゲーム、ご存知の方も多いでしょう。
ほとんど不動産の買い占めをするだけなのですが、なぜだか結構楽しい。双六のようにサイコロで進むのですが、止まったマスの物件だけしか買えないルールなので、参加者同士の個別取り引きが重要になります。というのも、なぜだか単独の物件だけでは開発、つまり宅地化したりホテルを建てたりはできないルールになっているためです。同じグループの物件を揃って手に入れ、同時に開発しないといけないわけですね。
この物件を買い揃えるところが、真空管の購入に似ているような感じがするのでした。
真空管は、シングルアンプでもステレオなら同じ管種のものを2本、プッシュプルなら同じくステレオで4本必要になります。
ネットオークションで、一山いくらで真空管を安売りしていることがあります。安さに目がくらんで買うと、さまざまな球が不ぞろいで手に入るのです。たくさんの球が手に入って、なんとなくうれしい気持ちにはなるものの、それだけでは思い通りにアンプは作れません。
不ぞろいなままでは使えないので、今度は使いたい球を単独で買い揃えることになります。それでもたいていの場合、トータルでは安く上がるのですが…。
銘球も駄球も、そろっていなければ使い道がないのはモノポリーに良く似ているのではないかと思います。
というか、今日ふとそう思ったのです…。
2006年05月19日
10EW7差動アンプの反省
いきなり「反省」です。
ナントカEW7という球は、大小2つの3極管を組み合わせた複合管です。大きいほうを出力管に使うわけです。
小さいほうは遊ばせるのはもったいないので、今回の回路では変形SRPPの上の球に使いました。これだけで電圧増幅しても増幅率が不足します(μが20くらいのため。最低でも70くらいは必要です)。3段にはしたくなかったので、増幅率の大きい5極管を使いました。
後から考えれば、ここは素直に12AX7でも使っておけば、SG電流を気にする必要もなかったですが、まあ、使ってみたかったんです、5極管を。初めてだったので。
しかしSRPPというスタイルは、難しい部分がありました。
たまたま4本、手元にあったというだけの球ですから、特性がそろっていたわけではないのです。出力段もそうだし、前段もです。
SRPPの上下の球が違う上に、特性のばらつきもあるわけです。上下の球の間にある抵抗(上の球のバイアスを作る)は、1kΩと1.5kΩの2種を使い分けて、何とかバランスをとっています。可変抵抗でバランスを取るべきだったのかもしれませんが、ついつい面倒で…。
電源トランスの容量の問題もありますね。本当はもっと電流を流せば出力も取れるし、電圧増幅段も動作点をより最適化できそうな感じです。
まあしかし、満足してないから、いじる楽しみがまだあるというわけで。
ちなみに外観はこんな感じ。出力トランスがシャーシの中に入っていると、ずいぶんすっきりと軽快な感じになります。このアンプの音質と通じるものがある?
2006年05月08日
とりあえず回路図を
10EW7全段差動アンプの音は、前作の2A3シングルに比べると、高域のツヤを除く多くの点でこれを上回るものでした。安い部品ばかりで作った実験アンプとしては、はっきりいって期待以上でした。
特に音がよく拡がって聞こえるところや(「音場が広い」というのか)、場の空気が澄んだような透明感も気に入りました。
このアンプの現状の回路図をアップしておきます。
この回路のポイントは出力段よりも前段で、SRPPの変形した増幅回路を用いています。
オーバーオールのNFBをかけてみたかったこともあり、2段増幅にしたかったので、前段は増幅率の高い5極管にしたのですが、そのままでは高域特性が悪くなるのでこうしてみました。
また、すでに触れた出来合いのシャーシの制限で、5極管を使うにしても双5極管を使うしかなかったので、そのとき入手できた唯一の電圧増幅双5極管“6J11”を使うことになりました。
ただ、この球はSG電流が多めで、果たして厳密な意味で差動増幅といえる動作をしているのか、ちょっと自信がなかったりします。識者の方に教えていただきたいところです。
また、ここは変形SRPPでなく超3極管接続にしても良かったかなと思っています。
このアンプを製作した時点では、まだ超3極管接続のことが良くわかっていなくて(今でもわかっていないが)もう少し勉強してからにしようということで、まずはこの形式にしました。
前段を超3結に作り変えようか、別のアンプを作ってそちらで超3結を実験しようか、決めかねていたのですが、今は別のアンプのほうに傾いています。
というのは、10EW7はたまたま4本持っていたから使ってみただけで、特性がそろった球ではないので、性能を追及しようとしても無理があること。また、出力トランスをケチったため、これを替えないことには大幅な音質向上は望めないが、このアンプに追加投資してまでこだわるよりは他の回路方式を試したい、などなどの理由があるのです。
実験のつもりで作ったアンプだったし、実際に回路や製作の勉強になり、Trリップルフィルタや定電流回路、そもそも初めてだった5極管の使用やNFBなど、いろいろ経験できたので、当初の目的は十分果たしたのです。
後はもうしばらく、現状の音を楽しんで、やがて役目を終えて退役させることになるでしょう。
…でもとりあえず、今の6Ωのスピーカー“SX-700”への最適化の改造だけはしとこうかな。もともと8Ωのやつに最適化してあったので、今のままだと出力がぐっと小さくなっているのでした。
定電流回路の抵抗の定数を変えて、電流値を増やしてやるだけでいいはず。実は電源トランスの容量を超えてしまうのですが。
2006年05月07日
差動出力という作法(茶道?いや、そうでなくて…10EW7全段差動アンプ)
またしても更新から遠ざかってました。次のアンプの構想で忙しかったので(w
さて、2台目の話に行ってしまいましょう。早く書かないと3台目に取り掛かってしまいそう。
1台目は“シングルアンプ”ということで、2台目は一般的なもう一つの手法“プッシュプルアンプ”で行こうと考えました。で、まず読んでみたのが『情熱の真空管アンプ』だったわけです。
アンプ回路の理論の基礎を知りたくて、入門書として評判の良かったこの本を手にとってお勉強。
この本こそが、真空管を使用した全段差動アンプの代表的な解説書だったのです。
前後して、オークションで古い東芝製の真空管を一山3,000円で落札しました。その中にある球で何かアンプを作ろうと。で、選んだのが“10EW7”という昔のテレビ用の球。たまたま4本あったから、というだけの理由です。
回路設計は大変楽しめました。
まず、シャーシ(金属製の箱。筐体です)をこれに決めてしまったのです。
穴加工済みなのですが、スチール製なので追加工が困難。自然、使える部品が限られます。
その制約の範囲内で、回路のつじつまを合わせるのがなんと楽しかったことか。基本的にはオームの法則だけなのに。
さらに、部品の配置と配線を紙に書いて検討(実体配線図、といいます)も、ああでもないこうでもないと何度も修正に修正を重ねました。本当はいきなりシャーシに組み込まずに、バラックで試作するのが通のやり方らしいのですが、そういう面倒くさいことは苦手で…。
そこまで紙での検討を重ねたので、実際の組み立ては割りとすんなり完了しました。
当初はハムに苦しんだりもしたものの、音は一発で出たし、すっきりと見通しの良い音で歪感も少なく(実はまじめに計っていない)、まずまずの出来です。ただ、球のばらつきのためか、左右のチャンネルの利得に1割ほど差があるのと、出力トランスをケチりすぎて、やや低音がさびしいのが欠点でしょうか。
球の選択も思い付きだったし、暫定というか半分実験のつもりのアンプ製作でしたが、設計から自作となると思い入れも強く、まだしばらくはいじりながら使い続けそうです。
2006年03月18日
回路のお勉強をしてみた
2A3シングルアンプを作ってみて、シンプルなのにいい音がするのに驚き、改めてまじめに真空管アンプについて勉強する気になりました。
最初はネット上でこちらで勉強しようとしましたが、電気回路は大学でちょっと習った程度(理屈としては概ねわかっていても、実用的な回路設計には役立たないレベル)だったので、ちょっと敷居が高すぎ、初心者向けの本を買うことを決意。
最初に買って読んだのが黒川達夫著『はじめての真空管アンプ』(誠文堂新光社)。初歩の初歩から書かれており、すいすいと頭に入りました。
次に、改めてこちらのオーナーの木村哲さんが書かれた『情熱の真空管アンプ』(日本実業出版社)に挑戦、今度は砂に水が染み込むように理解できました。タイトルからは、ちょっと思い入れの強いエッセイ集のような趣の内容を予想しがちですが、さにあらず、実用的なアンプ設計~製作の知識が詰まっています。
これらの2冊は、お互いに補完関係にあるように感じます。
黒川さんの本は初心者向けに丁寧に解説してありますが、これだけではオリジナルの回路を設計するまでの知識は得られません。真空管の動作条件をどう設定するか、などがあまり細かく書かれていないのです。
一方の木村さんの本は、電気回路の初歩的な部分はそこそこに、真空管アンプの設計と製作の実務的な解説を中心に書かれています。この本のおかげで、次のアンプはオリジナルの回路を設計できたのです(オリジナルといってもほかの人の考えた回路のつぎはぎですが、真空管アンプの回路なんて大概そんなものです。大概のアイディアは出尽くした感があり、まったく新規の回路を思いつく人なんてそうそういません。それでも球の種類もいろいろ、回路もいろいろあり、それらの組み合わせで楽しめるので、当分飽きそうにはありません)。
ただ、木村さんの本も『全段差動増幅』という回路についての解説が主です。この2冊でシングルと差動については十分わかりますが、一般的なプッシュプルや、SEPPだのSRPPだのといった回路方式についてはわかりません。
こういうときは、ネット上で検索しても、断片的な知識は得られても、なかなか体系的な勉強はできないもの。そこでもう一冊、長真弓著『真空管アンプ設計自由自在』も購入。こちらはプリアンプの回路設計にも触れた盛りだくさんな本で、実はまだ読破していません。それでも、2台目の設計~製作はできてしまい、すでに稼動しています。次に紹介する「10EW7差動アンプ」です。
2006年03月12日
最初の一歩(2A3シングル)、および真空管オーディオについて
さて、最初に作ったアンプの回路図というのがこれです。
2A3シングル:回路図
部品の数が少なくて驚かれると思いますが、かなりまともな音が出ます。実はこれでも音質向上のために部品を追加したので、最初はもっと単純なものでした。
これが真空管アンプの特徴なのです。半導体を使うとこうはいきません。
もちろん真空管だってもっと複雑な回路はあるし、このアンプも手を加える余地はありますが、複雑にすればいいというものでもありません。むしろシンプルなほうがいい結果が出ることもあるようです。
ちなみに、このアンプは松並希活さんの著書にあったものを基に、多少手を加えたものです。当初は本の通り作ったのですが、ネットで球アンプ情報に当たるうち、次第に知識がついてきて、改造するにいたりました。
一番面倒なシャーシが、加工済みのものを秋葉原のノグチトランスで売っているため、初心者には大変作りやすい物でした(ただ、アルミシャーシの塗装は別途ノウハウが必要。私はまだ会得していません。それから松並さんの本だけでは、一部の配線を捻って組み合わせるようなノウハウは得られなかったことも付記しておきます)。
半導体のアンプについてもう少し書きます。
真空管をいじり出す前は、真空管は古臭い音がして、現代的な音がする半導体に取って代わられたのだと信じ込んでいました。しかし調べていくと、どうもそうではないらしいとわかりました。
真空管でも十分現代的な音は出せる(自作2号機で実感しました)。半導体が普及したのは、メーカーの都合です。
真空管は、作るのにコストがかかるのです。ガラスの中に電極が複雑な形で収められている様は、1個1個がまるで、工芸品のようなものです。半導体に比べて大量生産に向くとはとても思えません。
それと、真空管を使ったアンプには、大型の出力トランスというものが必須になります。これがないとスピーカーからまともな音が出せません(使わない回路方式もあるが、さらに大掛かりな回路になる)。これもコストがかかる上に、物理的にもアンプ全体が大きく重たくなります。トランスは重ければ重いほど、低音がよく出るいいトランスなのです。
安く作れるというのはもちろん、軽く作れるというのも、遠く海外の市場でも製品を売りたいメーカーとしては、輸送コストの面でメリットになります。絶対的な音質を求める「ハイエンド」という客層は決してメジャーではないので、一般向けのオーディオ機器としては半導体を使って軽薄短小化していくのは当然の流れでした。
そういったことで、徐々に真空管のオーディオは市場ではマイナーな存在になってきました。しかし、ことオーディオを自作する者にとっては、半導体よりも扱いやすい真空管はありがたいのです。なんたって壊れにくいし。自慢じゃないけどこの半年でもトランジスタは何個も壊しました。が、球は一度も壊してません。
それと、クラシック音楽好きは、古い音源のCDを聴くことが多いのが普通。これも実際に作ってみて実感したのですが、真空管のアンプは70年代まではメジャーだったので、そのころまでに録音された音源は、真空管アンプで鳴らしたほうがずっと自然な音で鳴るのです。クラシックだけでなく、ジャズもそうかな。
過去の膨大な文化の蓄積を捨てるつもりがない以上、それらをよりよい環境で再生するためには、真空管オーディオはなくせません。敢えて大げさな言い方をすると、人類の責務だと思いますね。球オーディオを絶滅から守るのは。
2006年03月04日
真空管アンプ事始
職場の先輩にそそのかされたのが始まりでした。
最初は、どうせ真空管アンプなんて、骨董品のような音がするんだろうと馬鹿にしていました。しかし先輩たちがいかにも楽しそうにアンプ作りの話題で盛り上がるので、ついその気になって作ってみたわけです。
しかも「どうせやるなら完全自作」ということで、専門書を買ってきて、それに書かれた内容どおりのアンプを、部品をひとつずつ買い集めて作ったのが1号機。「2A3シングル」というと、詳しい方ならどういうモノか見当がつくはずです。初段は12AX7のSRPPという方式の増幅回路です。
あ、「2A3」「12AX7」というのは真空管(「球」と呼ばれる)の形式名です。どちらもオーディオではとてもポピュラーな球です。
回路なんてあきれるほど簡単なもので、こんなんでいい音が出るわけないという先入観もありました。部品さえそろえば作るのは簡単。
作って音を出してみて……正直びっくりしました。
いまどきのアンプなんて、本格的なオーディオ用なら出力100W以下のものなんて珍しいでしょう。それがこの1号機は片側3.5W、両チャンネル合わせても7Wです。小型のラジカセみたいな数字なので、それなりに大きなスピーカー(B&Wという会社の「DM220」という、20cmウーファーが2つついたもの)をまともに鳴らせるとは思えなかったのです。
ところが、大変まともに鳴ってしまいました。
それどころか、弦楽器の存在感など、今までのアンプよりいいみたい。
ただ、「ブーン」というハム音がします。かすかに、というレベルではない。調整用のボリュームを回しても変化なし。
これが気になったので、どうすればいいかネットで調べたら、これまた簡単、すぐにわかりました。電源など、交流が流れるところは配線同士をよじり合わせるものらしい(今思えば当たり前ですが、当時はそんなことも知らなかった。それでもアンプは作ることができたくらい簡単でした。ちなみに「当時」といっても、まだ1年もたってませんが)。
早速やってみたら、あっさり静かになりました。スピーカーの正面に耳を当てないとハムは聞こえません。普通に音楽を聴く限り、まったく気づくことはありません。以上、対策完了。
ちょっといじるとすぐに結果が出る。しかも劇的に変わる……この体験で、もう決定的にハマってしまいました。球アンプの世界に。
その日から、それまで使っていた十数年物の半導体(真空管の「球」と対比して「石」と呼ばれる)のアンプはすっかりほこりをかぶったままとなり、球アンプ1号機が取って代わってしまいました。
以後も少しずついじっては効果を確かめ、楽しんでいます。
実は現在、1号機の大改造を計画中。何しろ初めてだったので、配線もぐちゃぐちゃならシャーシ(筐体)の塗装も拙くてハゲハゲ。一から作り直そうと考えているのです。
部品は今のものを使うので、アルミの弁当箱みたいな安いシャーシを買ってくれば、後は手間をかけるだけです。手間をかけること自体が楽しいのでいいのですが、いつやるかは未定。構想を練っているときが、一番楽しいのですよね。だからたっぷり時間をかけて構想を練り上げます。
やっぱり自分は根っからの理系だったのだと納得。
2006年02月26日
早い話がオーディオとの戯れ
最初のエントリーから、実に久しぶりの更新。実はオーディオのせいだったりします。
クラシックを聴くせいでオーディオにも興味を持つのは珍しくもなんともないですが、自分で機器を作るという楽しみを知ってしまったら、かつてないほどにどっぷりハマってしまいました。それでBlogどころではなかったと。
いずれデジタル機器も作るかもしれませんが、今はアナログのみ。具体的には真空管のアンプです。オーディオ自作の入門にはやはりこれでしょう。
たいした予備知識もなく、(今思えば)いい加減に作っても、あっさり音が出る。しかも回路は非常にシンプルなのに、出てくる音は嘘みたいにまとも。まずこれにびっくり。
でも落ち着いて耳を傾けると、幾つか不満な点も見つかる。原因をネットで探して調べ、少しアンプに手を入れると、ものの見事に問題が解決したりする。こうなるともう理系の人間にはたまりません。どんどんいじくって、どんどんハマる。
より深い知識を得ようと勉強し、その成果を形にしようと回路設計・実機製作。その結果がまた結構良かったりする(最高、ではないところがまた、ハマる原因)。
アンプが一段落したら、次はスピーカーも……夢は拡がる一方です(いつ一段落するのかは神のみぞ知る)。